楽しきゃいいんです
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「…って感じで、なんか機嫌悪いみたいなんだよねあの人」
「ふーん」
その次の授業は移動教室だったから、なぜか甲斐くんと移動中。
平古場くんはさっさと教室出てっちゃったし。
本当はクラスの女の子たちに連れてって貰おうかと思ってたのに、準備してたら甲斐くんに「教室いちゅんぞー(行くぞー)」と引っ張られてしまった。
うちはこいつらから逃げられない運命なのだろうか。
でもまあちょうどいい機会だから聞いてみたのだが、あからさまに他人事な返事。
確かに他人ですけどね。
「ふーん、って呑気な。あの空気すげー重いんだからね!?確かに最低限の会話で良いからって言ったけどさ…あそこまで機嫌悪くしなくても良く無くない?」
「…最低限の会話にするってことが理由とはあらんあんに?」
「あらん…違うってこと?」
「おう」
「…なんで?」
「凛のヤツ、最初っから機嫌悪いんだろ?そりゃあやーがバカみたいに話しかけてたらイラついて機嫌悪くなるのは分かるさー」
バカみたいって。
もう少し言い方考えてくれないかな。
「やてぃん話しかけても無いのに機嫌が悪いってことは、イラついてる理由は別なんじゃねぇ?」
「……イラついてる理由が別にあるって…え?女の子の日?」
「あほか」
か、甲斐くんにあほ呼ばわりされた…。
「まあ確実とは言えねーらんしが、知念と会った時に何かしたんじゃねぇの?」
「知念くんと?」
そこで何で知念くん?
「話聞いてたら、大体その時ぐらいだろ。凛の機嫌が余計に変になったのは」
「変っていうか、まあ。不条理になりましたね」
理由もなしに怒鳴られて殴れて。
ああ腹立たしい。
「あぬひゃーの考えてることは分かんねーけどさ、やーが何か気に障ったことしたんじゃねぇ?」
「気に障ったこと…」
うーん…思い当りがありすぎる。
「甲斐くん…『お前が取り締まられろよな!』とか『平古場くんて性格悪いね!』とかは悪態に入るのでしょうか?」
「入るだろーな」
やっぱり。
「…じゃああの時の言葉が悪かったのかな…。本音だったんだけど」
「だったら尚更やっし。謝った方がゆたさんあんに?(いいんじゃないのか?)」
「謝る…」
うち悪くない!…って言いたいところだけど、やっぱり調子乗って悪口言ったのはうちなんだろうなぁ…。
「(すげー気が進まないけど)謝ろうか…」
「涼音、本音が聞こえてるんどー」
おっといけね。