楽しきゃいいんです
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「ようやく部活かぁ…ここまで来るに長かったなぁ」
「よー涼音―」
ゴツッ
「いって!ちょ、甲斐くん!ラケットは人を小突くものじゃありません!」
「はは、わっさん」
「まったく……て、あ。ユニフォームだ」
前にも見たけどちゃんと見たの初めてだ。
ここのユニフォームはノースリーブなんだよね、珍しくない?
他のテニス部のユニフォーム事情とか分からないけどさ。
「おう。どうやっさー。カッコいいだろ?」
「あーカッコいいカッコいい(棒読み)」
「全っ然心こもってねーらん…」
気にするな。
「ぬーしてるんばぁ、早くコート行かねぇとまた永四郎にあびられる(怒鳴られる)んどー」
「あ、平古場くん。…ってあっつっ!!!」
「うわっ!?ぬ、ぬーがよ!?」
「何だよじゃねーし!あんたこの暑いのにジャージかい!暑苦しいな!」
髪の毛の量だって多いんだから余計暑苦しいだろ!
「この前会った時も着てたぜー。それにもう慣れたさー」
「慣れって…なんで長袖なんか着るの、この灼熱の太陽の下で」
「この方がわんに合ってるさぁ」
「そうか、過ごし易さよりもカッコよさか。うっぜー!!しばらく距離置こうか、平古場くん」
「距離置くも何も元からわったーの距離はエベレストのてっぺんと地上くらい埋められない距離があるから充分やし」
え、そこまでうちら仲悪かったっけ。
「でもすぐに日に焼けちまうからなー。やーみたいにTシャツだけだったらすぐ黒くなるぜ?」
「うげっ、やっぱ?」
「日焼け止めもあんま意味ないしなー」
「マジかぁ…。まあめんどくさいから塗ってもないけどね」
「やー、じゅんにいなぐかよ…」
「うっさいな!つーかいなぐってなんなんだ!」
「分かんねーのに怒鳴るなよ」
バカにされてるって事は雰囲気で分かったので。
…後で知念くんに聞いたところ、いなぐってのは「女」って意味だって分かった。
やっぱバカにしてたじゃねえか!