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□光≒影
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部活が休みの日に
デートの二人
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「黒子?」
振り替えるといたのは青い髪の彼ではなく、赤い髪の火神くんだった。
「火神くん。」
「なにやってんだよ。」
「別に火神くんには関係ないです。」
「なんだょその言い方は。」
「じゃあ聞きますけど、青峰くん見ませんでしたか?」
「青峰?」
「待ち合わせしてるんです。」
「知らねぇな。」
「そうですか。」
「…俺とどっか行くか?」
「え、ありがとうございます。丁重にお断りします。」
「なんか聞いたことがあるセリフだな」
「以前黄瀬くんに似たようなことを言いました。」
「なるほどー、んじゃ大人しく待つんだな。じゃあな。」
数回言葉を交わしてから火神くんと別れ、再び青峰くんを待っ。
首にマフラーを巻いてるだけで、特に防寒具を身に付けていないため、少し寒い。
すると息を切らして走ってくる青峰くんがいた。
「わりぃ…テツ…」
青峰くんが息をきらすほど走ってきたならと思い
「いいですよ」
と許した。すると
「寒かっただろ」
と、ホットココアの缶を渡される。とても温かかった。
「いゃー…さつきに捕まってよー…テツに手出しすんなとかうっさくてよォ」
「そうなんですか」
「俺ってそんなに危険人物か?」
「そうかもしれないです」
「げっ!!テツまでそんなことを」
こんなに表情豊かな青峰くんを今は誰も見ることができない。皆の前では常に人を見下している彼も、僕だけにはいろんな顔を見せてくれる。
「あー、マジショックだわー」
「でも青峰くんは…」
「?」
「僕には優しいです」
「テツ…」
「今も昔も、」
僕がそういうと青峰くんは
「そうか」
と、以前と変わらない笑顔で笑ってくれた。
「青峰くん。」
「ん?」
「ありがとうございます。」
「おぅ…」
青峰くんの手に軽くですがしがみつく。青峰くんの顔を見れば恥ずかしそう僕と反対側に顔を向けている。
昔に比べたら青峰くんは変わったけど、僕に対しては変わらない。
青峰くんが変わって僕が変わったのかもしれないけど。
僕は青峰くんの影だから。
光に合わせて
姿を変えることくらい
簡単です。
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