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□言葉のゆくえ
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第56Qネタ
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部活をさぼってブラブラしていたら、テツを見かけた。話しかけようとした瞬間、テツの嬉しそうな表情にふと、火神ってやつを思い出す。
「テツ!!」
「…青峰くん?」
「何嬉しそうな面してんだよ」
テツはあからさまに嫌そうな表情をした。
「…別に青峰くんには関係ないです」
「そうかよ」
「はい」
再び走ろうと前を向いたテツに、
「テツ、火神ってやつのとこに行くのか」
と話かける。
「そうですよ」
振り向かないでそう返されるから、イラッとして
「そんなやつのとこ、行くな」
と言っていた。するとテツは表情を変えずにこっちを向く。
「何で青峰くんがそんなこと言うんですか?青峰くんは僕のことなんか気にしないでください。そうやってるとすぐに足元すくわれますよ?」
「…そーかよ。でもな、お前のバスケじゃどーせ「僕は新しいバスケで、君を倒します」
「!!」
時間が止まったような気がした。
「このままじゃ駄目だって…今のバスケスタイルを変えなきゃいけないって、僕気づいたんです。火神くんのおかげで」
「っ…」
「僕、急いでるんで」
テツは再び走っていった。
テツ、
俺はお前がそのスタイルでバスケをしてる限りは、ずっと俺と火神を重ねてるって思ってた。けど違ったんだな。
それに、
「俺だって、お前にバスケスタイル変えろって、言ったつもりだったんだぜ…」
(伝わらなかった言葉はどこにいくんだよ)
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