本棚
□お弁当
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「良〜」
「はいっ!?」
青峰くんは授業が終わると僕の席に来るのが日課になっていた。
「弁当は?」
「あ、作って来ました!!」
「どーも」
そして僕も青峰くんにお弁当を作ってくるのが日課だった。
「屋上いくぞ」
「あ、はいっ!!」
慌てて青峰くんについていく。
「相変わらずうめぇな。」
「あ、ありがとうございますっ」
「おぅ、良も弁当食べろよ」
「あ、うんっ!!」
思わず見とれてたなんて言えず、慌ててタコさんウインナーを口に含む。すると焦りからかちょっとむせてしまった。
「ごほっ…」
「はっ、良大丈夫か?」
笑いながら背中を叩いてくれる青峰に、桜井はちょっと嬉しくなる。
「大丈夫です、ありがとうございます」
「ん」
青峰は桜井が大丈夫だとわかると、再び箸を進める。僕もゆっくり箸を進める。すると青峰くんがお弁当を食べ終わった。すると弱々しく話し始める。
「良、お前毎日弁当作ってくんの、嫌じゃねぇの?」
「えっ?」
「俺が無理やり作らせてるような、もんだろ…。明日から別に作って来なくてもいいぜ?」
青峰くんがこんなこと言うなんて思わなかった。青峰くんは僕の目を見て、返事をじっと待っている。
「青峰くん、」
「…」
「僕が作りたいからいいんだょ。こうやって話すのも、凄い楽しいし…」
青峰くんの目を見て答えると青峰くんはちょっと驚いていた。
「良…敬語…」
あ…しまった!!
「スイマセン!!敬語取れてましたっ!!スイマセン!!!」
慌てて頭をペコペコ下げる。すると青峰くんの手が僕のオデコに触れる。
「謝んなよ、別にいいし、むしろそっちのほうがいい。」
そう言って笑う青峰くんは、とってもかっこよくて、可愛かった。
「明日からも弁当、作ってくれんだよな?」
「はいっ」
「敬語…」
「あ、うん!!」
「それでいいんだょ」
青峰くんはまた、ニッと笑う。
青峰くん、僕、若松先輩に『なんでアイツに毎日弁当を作ってくるんだ?』って聞かれたけど、『青峰くんのお弁当を美味しそうに食べている姿を見るのが好きだからです。』って答えたんだよ。だから心配しないでよ。これが僕の愛の形だから。
「次の時間サボろーぜ」
「えぇっ!?」
「良、膝枕〜」
「膝枕よりは、腕枕がいいな」
「なんで?」
「青峰くんの顔が近くで見れるから………デス」
「…別に腕枕でもいいぜ、寝れるなら」
「うんっ」
(ちょっとは君に近づけたかな。)
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