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□すれ違う
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黒子side
「青峰くん、話ってなんですか」
本当は何を言われるか、わかっていた。
「…俺はもうお前のパスいらねぇ」
「…」
青峰くんは屋上からの景色をみながら、僕に背を向けたままそう言う。
「俺はもう1人でいい。俺の力だけで十分勝てるしよ。」
青峰くんは淡々と話していくけれど、少し声が震えている気がする。青峰くんはまだバスケが好きなはずだから、今彼を止めないと後悔する。
「そんなことないです。青峰くんより強い人は必ずいます。」
僕が否定すると青峰は初めてこっちを向く。
「…じゃあ連れてこいよここに。俺より強いってやつを。」
「それは…できませんけど…」
今のところ青峰くん以上を見たことはない。僕が弱々しくいうと、青峰くんは少し呆れたように僕を見ていてが、青峰くんはまた僕に背を向ける。
「これからもパスだけでやってくのかよ。」
青峰くんの声はさっきと違って、少し弱々しかった。
これしか僕にはできないしこれが僕の限界だ。
「…これが僕のバスケですから。」
それに、青峰くんと作り上げた僕のバスケだから。
すると青峰くんは屋上のフェンスを一発殴る。そして僕の方を見ないで
「…言ってろよ。」
と言って、屋上を出ていった。階段を降りていく音が遠くなっていく。部活に出るのかと考えていると学校から青峰くんが出てきた。部活にいかないようだ。
良かった。
そう思った。最近僕は、緑間くん、赤司くんたちにも信用されなくなっていた。黄瀬くんはまだ、優しいんだけれど。だからこんな不甲斐ない姿を青峰くんには見せられない。
無性に悲しくなる。
「青峰くん…」
僕は君に何をすれば良かったんだろう。
━━━━━━
公園まで走って、火神くんと約束した。新しいバスケでキセキの世代を倒して、日本一になると。
青峰くんと作ったバスケを捨てて、日本一になると。
やっとわかった。
青峰くんは僕に変わって欲しかったんだ。限界を決めつけて何もしなかった僕に。
青峰くん、待っててください。新しい僕のバスケで、君を倒しますから。
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