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□お好み焼き
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「お好み焼き、テツと行ったらしいな」
青峰がいきなりそう言ったから、俺は青峰とお好み焼きを食べにきた。
「あー暇、早く焼けよ」
「少しくらい待てよ」
ブーブーうるさい青峰を黙らせて焼く。やっと出来上がり、ソースを塗ってマヨネーズをかけようとした時
「マヨネーズよこせ」
今まで見てただけの青峰がマヨネーズを俺から奪う。
「なんだよ」
「俺がかけるから見てろ」
そう言って青峰はマヨネーズで何かを書き始める。汚ない字でゆっくり書く姿は少し可愛らしい。
す、
き、
だ、
ぜ
「っ!?」
青峰を見るとニヤリと笑う。
「ば、バカ野郎」
「嬉しいくせに」
「うるせっ」
青峰は笑いながら、焼けたお好み焼きを食べ始める。このまま終わるのは俺としてはしゃくだ。
「青峰」
「あ、」
「口についてるぞ」
そう言ってそれを嘗めとる。青峰は少し赤くなってから俺をじっと見る。
「…お前アホだろ」
「あ?」
「手」
「手?」
自分の手を見ると鉄板の上にあった。
「熱っ!!!!」
流石の俺も涙目になる。青峰はけたけた笑う。
「馬鹿じゃね?」
「うっせー…」
「大丈夫か?」
「大丈夫だょ」
「家で気持ちよくしてやるから我慢しろよ」
「な…」
青峰のやろう、俺をどんだけ恥ずかしめれば気がすむんだ。まあ、嬉しいんだけどな。
「家で覚えてろ」
「ハイハイ」
ちょっと空腹だけど俺たちは店を出て、火傷した手で青峰の手を引っ張って家に帰った。
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