本棚

□すれ違う
2ページ/2ページ


青峰side


「青峰くん、話ってなんですか」


俺は屋上から景色を眺めていた。すっかり聞き慣れた声に、振り向きたくなるが抑える。顔をみたら、多分言えなくなるからな。


「…俺はもうお前のパスいらねぇ」

「…」


テツはたいして驚かなかった。きっとわかってたんだろうな。


「俺はもう1人でいい。俺の力だけで十分勝てるしよ。」


できるだけ平常心を保とうとするが声が震えた。

心のどこかでこれを否定している自分がいるから。

そんなことわかっていた。でもこのままじゃ、テツは変わらない。パスばかりのバスケが楽しいわけがねぇ。それに限界も感じていた。なのに


「そんなことないです。青峰くんより強い人は必ずいます。」


そう言うテツに少し腹がたった。俺の気も知らねぇで、何言ってんだよ。


「…じゃあ連れてこいよここに。俺より強いってやつを。」

「それは…できませんけど…」


俺がテツの目を見て言うと、テツは弱々しく返してきた。俺は少しテツを見から、また背を向ける。テツの困った表情を見て罪悪感でいっぱいになる。


「これからもパスだけでやってくのかよ。」


テツの顔を見たら、変えろよ。とは言えなかった。

気持ちが揺らいでる自分に苛立つ。

でも一緒にやってきたバスケを否定はしたくなかったのは事実だ。


「…これが僕のバスケですから。」

きっと、テツも。


屋上のフェンスを殴る。


悔しいかった。テツとバスケを続けられないことが。俺がテツが変わらないことを妥協すれば良かったのかも知れない。

でも俺はテツのバスケに限界を感じていた。それをテツにも気付いて欲しかった。


「…言ってろよ。」


と言って、屋上を出る。階段を降りていく音が寂しげに響く。部活には出ねぇ。。けど屋外にバスケでもやりに行くか。


学校をでて屋上に目を向ければ、テツがフェンスに寄りかかって座り込んでいた。



無性に悲しくなった。




「テツ…ワリィな」



俺がやったことは君のためだったんだろうか。








━━━━━━






「青峰!!そこはパスだろコラァ!!」

「っせーなー。決まったんだからいいじゃねぇかよ」


あれから俺らは違う高校に通った。テツはまだ変わっていなかった。いつになったら気付くんだよ、あいつ。



テツ、本当は今すぐ会いたいんだぜ?だから早く、俺を倒してくれよ。新しい光とさ。



━━━━

すれ違ってるけど

いずれ笑顔で出会えると

私は信じてる←



.
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ