天の声よ風に乗れ

□天の声よ風に乗れ
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そうすると浩月姫が、かるく頭をさげた。

「さっそく、お願いします」

「はい」

昌親は返事をすると、さっそく始めた。

「オンボワソワカカ・・・」

そして・・・

「禁っ!」

呪文を唱え終えると周りが、薄いまくに覆われた。

「これで大丈夫でしょう」

昌親は、一息ついてぐるりと周りを見渡した。

「さすがだな」

成親は、さすがだと感心した。

そのとき、

「ありがとうございます」

御簾の中から声がした。そしてー

「高野、下がって」

浩月が、女房ー高野に言った。

「しかしっ・・」

「お願い」

そう言われると従うしかない。

「分かりました。中の者たちもですよ」

高野が言うと、中から三人の女房が出てきた。

四人は言われたとおり、奥に行った。

そして・・

がさり

御簾に手がかかった。

ばさっ!!

と、一気に御簾が上がった。

そこに居たのは、黒髪が美しく腰まで伸び

顔立ちはまだ、幼さが残っていて・・

その姿は、まさしく・・

「昌浩ーーーっ!!」

成親と昌親、騰蛇は同時に叫んだ。

六合だけが、沈黙していた・・・

御簾の向こうに居たのは、まちがいなく「昌浩」

だった。


・あとがき・
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