BLEACH
□暗雲の零星
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紅い衣を纏った
誰かは言う。
師走よ
はつかよ、
早く去れ、と。
☆
****暗雲の零星****
ガラッ
「雛森ぃ〜〜」
五番隊執務室。言いながら開けるが、誰もいない。
ただ、机の上に積まれた書類の山となんとなく寂しい本棚があるだけ。
書類を片手に、冬獅郎は中を覗き込む。
「…?誰もいねぇのか?」
冬獅郎は部屋の中を確認すると、一度手の紙の束を見てから、再び歩き出した。
「……ん?」
霊圧を探りながら歩いていくと、微かに音と知った霊圧に当たった。
「えーっと…これをここで入れて…あれ?違うなぁ…」
「雛森?」
「ふわあっ!」
冬獅郎の声に、びくっと肩を震わす。
それと同時に、ほぼ反射的に持っていた本を隠した。
「ひ、日番谷くん…」
「何やってんだ?こんな所で」
「い、いいでしょっ、日番谷くんには関係ないのっ!日番谷くんこそどうして…」
「これ届けに来たんだよ。なのに誰もいねぇから探しに来たんじゃねーか」