BLEACH
□雨の日ドラゴン。
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サアアアアア…
静まり返った空間の中で、淡い雨の音だけが耳のすぐそばで鳴る。
視界も、上の方が傘でちょっとだけ見えない。冷たくて、けどどこか穏やかな雨。
一本道にはあたし一人。なんでか、足元で水たまりがピチャピチャうれしそうにおどってる。
「9月なのになあ…。最近、よく雨降るよね…」
そんな風にひとりごちて歩いて、住宅街からすこし外れたあたりまで来ると、雨の日のこの辺では珍しく人影が見えた。
細いシルエットで、ダークブルーの気取らない傘。
「石田くんっ!」
あたしが・妙にうれしくなって笑顔を向けながらぶんぶん手を振ると、その影――石田くんがこっちを見た。
「井上さん。」
石田くんが立ち止まったのを確認しつつ、パシャパシャとそっちへ跳ねてく。
「こんな雨の日にどうしたの?井上さん」
「ん、ちょっとね、たつきちゃんに借り物返しに行ってたの。すぐ返してって言われてたから…。石田くんこそ何してたの?」
「ボ、僕はちょっと買い物に…。夕飯の材料がなかったからさ」
それを裏付けるように、石田くんの左手にはちょっと小さめのスーパーの袋が提げられている。
けど、