BLEACH
□プラスマイナスぜろ
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真っ青に晴れた空の下。我が季節到来と言わんばかりに太陽がじりじりと照りつける。
「…………」
涼しげな木陰の下、恋次はそこで平和そうに寝ているものを見ていた。
それは、細かく風になびく黒髪と、白く綺麗な肌、そこに今は閉じられた大きな瞳をもった、小さな少女。
「おーい、ルキア。ルーキーアッ」
上から声を降らせるような形で呼びかけても、反応はない。
聞こえてくるのは、すー・すー・と静かに立てられる寝息と、気持ち良い風が通り抜けていく音だけ。
「…ったく…」
がしがしと赤い髪を掻いて、上体を起こす。
彼女の顔は、実に幸せそうだ。
彼は少しだけそんな彼女を見ていたが、すぐに上体を元に戻す。今度は、もっと近く。
そしてぐっと下げて、彼女の唇まで押しつける。
柔らかい彼女の唇の感触が、それを伝って彼まで届く。
ふいに離すと、まだ眠る彼女があった。
「…こんなトコで、そんな無防備に寝顔曝してんじゃねぇよ…」
ぽつりと落ちた言葉は、半分呆れたようで、半分嬉しそうなようで。
「…………んーーー…」
と、ゆっくりと、彼女の眼がひらく。
「お。…やっと起きたかよ、姫様」
「…恋…次?」
まだ虚ろな彼女の眼が、彼の赤い髪をどうにか捉える。