Prelude

□Prelude〜剣〜
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暖かい日差しが天からそそぎ、人々を照らしている。
ゆっくりと風が吹き抜け、木々のざわめきが音楽を奏でる。
「ソフィア様、こんにちは。今日も良い日和で。」
畑仕事をしている男が上半身を起こすと、綺麗な白い歯を見せ笑った。
ソフィアも微笑むと足を止める。
「本当に良い天気ですね。」
「ヴァルジェ様が行かれて、もうかなり経ちますよね。カザネ様まで一緒に行くとは思わなかったけれど…。」
「そう?私は行くと思っていましたよ。」
「え…?」
ソフィアは笑顔で頭を下げると、その場から離れた。
気持ちの良い風が頬をかすめる。
表向きは平和な毎日。
でも時は刻々と進み、暗黒の闇が迫ってきていることをソフィアは感じとっていた。
兵の見回りも少しづつ増やしている。
町外れや森に、ヴァナワの姿が何度も発見されていた。
いつも戦わずしてヴァナワが姿を消すのをじっと待つのだが、こんな日々がずっと続くとは思えなかった。
いつ動き出すのか、ソフィアの風もよみとる事が出来ない。

守らなければ。
守らなければ、カゼリアの未来の民たちを…。
この地の愛する民を、守らなければ。

ソフィアは青く澄んだ空を悲しげに見上げた。




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