駄文

□沈黙の中で感じる君は
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「ただいま日輪。今帰った」
仕事を終えて帰ってきた月詠が人気の無いひのやに響く
どうやら日輪は出かけているらしい。
確か今日は吉原の会合があると言っておったな、
それならば日輪が戻って来るまで部屋で休んで待っている事にしよう、
瞬時に答えを導きだした月詠はひのやの奥に進んでいき自分の部屋の障子を開け部屋に入った。


その時だった


―ギュッ

何かに背後から包まれるような暖かい感触が月詠に伝わる

その突然の感触に一瞬体が震えるが、後ろに目線を送るとそこには久し振りに見た銀色の髪。


「な、何の用じゃ銀時。」
少し赤く、そして困ったような顔で月詠は自分を包んでいる張本人の名を呼ぶ

「別に用ってわけじゃねぇよ…」
そう言った銀時の声のトーンは低く未だに月詠を包む腕は離されない

とにかく部屋の入り口でこんな事を日輪に見られたら自分はどんなに冷やかされる事か…
それだけは阻止しなくては…
「の、のぅ銀時、放しくれなんし。部屋に入りたいんじゃが?」
鼓動が高鳴る中必死に声をだし銀時に提案する

「いやだ。」
しかし帰って来たのは否定の声だった。しかも続いて

「あと少しで良いからよ…」
と言い銀時は月詠を正面にむかせ、また抱き締める。月詠は自分から強引に腕をほどくことなどできなかった。
この男は知っててこんな事を言ってるのだろうか?
いや、きっとそうなのだろう。
そう思うとこの男に好きなようにされている様でムッとするが、
それでもやはりその腕をほどく事は出来ない。

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