短編
□香る
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「で、どうしてこうなったんだい?」
『えっとなー』
放課後、一護と雨竜は普段は使われない資料室にいた
そこで一護は持っていた紙袋から無残な姿のコンの体を取り出した
『昨日の夜、遊べだ何だの騒いでたんだよ。で、無視してたらこいつが鉛筆立て引っ掛けてぶちまけたんだ』
「へー、」
雨竜がこいつはバカだと言いた気な目で一護の手の中にあるコンの体を見下ろした
『そのまま飛び跳ねてたコンが中に刺さってたハサミのとこに落ちて暴れてこうなった』
「ふーん、バカだね」
何となくその情景が浮かんでくるのはいか仕方ないことだと思う
片目が取れかかり、脇腹から綿が飛び出て、腕や足の先は糸がほつれここも綿が出ている
「すぐ直すよ、もうプランは出来てるんだ」
『プランって何だ、プランって』
キラリと眼鏡のレンズを光らせた雨竜
また騒ぐであろうコンを見越して一護は少しうんざりとした顔をしてみせた
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「って、マジフルーティー!!!」
『うるせぇっ!!』
ものの数分で直ったコン、胸ポケットに忍ばせていた玉を入れると元気よく叫んだ
「どうだい?外見を変えると君はギャーギャーと五月蝿いからね今回は視覚以外に訴えかけてみたよ」
「一護ーなんでまたこいつに頼んじゃったんだよ・・・」
ご自慢のドヤ顔で言い放った雨竜にコンはズーンとテンションが下がるのを隠せなかった
対して一護は苦笑しながら口を開いた
『まぁいーんじゃねぇか?お前今の姿のままがいいんだろ?』
「そーだけどさ、」
そういうコンは自分の体をスンスンと嗅いだ
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