めいん2
□キスについて
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はじめてのちゅう
おもいでのちゅう?
否、まったく覚えていない。
何せダイヤが想いを返してくれた、あの日に、交わしたものが初めてだと思っていたからだ。
「え、違うの?」
素っ頓狂な声を上げるオレに、ダイヤはちょっと笑って、「違うよ」と言った。
「二回目だよ、あのときパールとその、……キスしたあれは」
「に、かい、め……」
しまった、前例なんてまったく記憶にない。ごめん、と口にするオレに、ダイヤはいいんだよと手を振った。
「パール、覚えてないのも無理ないよ、幼稚園だったからね」
「幼稚園?」
「うん。……幼稚園」
頬っぺたを少しだけ染めて、照れくさそうに笑うダイヤはそりゃあ可愛かったが、オレとしてはダイヤとした初めてのキスはとても気になる。気になるぞ。
「あのさダイヤ、忘れてる分際でこんなこというのもなんだけど、さ」
「ん?」
「どんなだった、初めては?いつ?言えば思い出すかも……しれないし」
もごもご、と吐き出すように呟くと、ダイヤはうーんと少し首を傾げてから、笑った。
「内緒」
「え!?」
「秘密だよ、パールには教えてあげないよ」
「なんだってんだよ!」
思わず語気を強めてしまうオレだったが、ダイヤは気にしたふうもなくまた笑う。
「大丈夫だよ、パールわるくないよ、覚えてなくて当然だから。ね?」
「……んーー…」
少々納得いかないが、まあいいか。じゃあもう一回キスしてよ、そうしたら水に流してやろう。そう告げてやると、ダイヤは困ったような笑顔を浮かべて、しょうがないなあと言った。
(覚えてなくて当然)
(初めてのちゅうは)
(お昼寝のときだったよね)
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寝込みを襲ってみたダイヤ
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