めいん2

□パルダイ←ゲン
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「え?今日ダイヤいないの?」

ダイヤのクラスの友達は、オレがそう言うと困ったように頷いた。

「うん、風邪だって先生からは聞いたけど。今日は朝からいなかったぞ?」
「……そ、っか」
「朝会わなかった?」
「いや、今日はオレ、日直だったから……早くて」
「あー……」

彼はそれ以上なにも聞かず、オレもなにも聞かなかった。パール帰るのか?身体に気をつけてな。そう言ってくれた彼に手を振って、お前もな、と言い残し走り出す。
階段をひとつ下りた廊下でお嬢さんを見つけ、急ブレーキ。

「あら、パール」
「あ!お嬢さん!悪い、オレ今日はもう」
「帰るんですよね、わかってます。お気をつけて」
「あ、……う、うん」

ダイヤモンドによろしく、とにこやかに手を振るお嬢さんにああと軽く返事をして、ばたばたと昇降口を飛び出す。お嬢さんには、すべて見透かされているのでは。ぶるるっ。


ダイヤの家はオレの家の隣に位置していて、だから一応、彼とは幼なじみだ。がちゃり、とダイヤの家の玄関の扉をあけて、おじゃまします。靴を脱ごうと視線を下ろすと、見慣れない靴が、一足。……おばさんは、今の時間は仕事でいないはず。平日なのだし。だいいち、この靴は男物だった。
嫌な、予感がした。
おじゃまします、を今度は幾分か低い声で呟き、階段をあがる。ダイヤの部屋は階段をあがった左にある。ノックしないでかちゃりと扉を開けると、風邪をひいているらしい相方はやはりそこにいた。
年上のお兄さんと一緒に。

「はい、ダイヤモンドくん」
「あーん…」

……。あ、あれ?
この人なにやってんだろう、今日平日なんだけど。なんでかいがいしくお粥なんか作って、ダイヤに食べさせてるんだろ?なんでふーふー付きなんだろう?

「あ、パール!」

思わず入口で固まっていると、額にひえピタを貼ったダイヤが、オレに気づいて声をあげる。紅潮した頬に、真っ白なひえピタがいかにも病人らしい。声もうまく出せていないようだ。
平静を装って「具合は?」なんて声をかけつつ、お兄さんを見る。お兄さんはオレの視線に気付いても、ただにっこりと笑っただけだった。

「よく、なったかなー」
「そりゃよかった」
「ゲンさんのおかげだよ」
「………。」

ゲンさん。近所に住むお兄さんで、仲良くしているらしい。とんだイケメンさんで、ダイヤのことも気に入っているらしく、今日は休みの日だったが、ダイヤが風邪をひいたと聞き、看病していたんだとか。……ち、ちくしょう。

「あの、じゃあ、朝から?」
「うん、ダイヤくんの看病しなきゃいけないからね。おばさまはお仕事だって言っていたから」
「……そうですか」

なにもいうまい。
ダイヤをずっと看病してくれてたんだから、むしろ感謝するべきだと思う。……思うのに。

食器片付けようか。そう言って立ち上がるお兄さんに、ダイヤはありがとうございますとお礼を言った。部屋から出ていくお兄さんを自然と追いかけて、オレも一緒に部屋から出る。ぱたん、と扉を閉めて、ゲンさん、と声をかけると、お兄さんは柔らかい笑顔のまま振り返った。余裕あります、みたいな感じが、逆にこちらにプレッシャーをかけてくる気がした。

「なに?パールくん」
「…、え、オレの名前」
「ダイヤくん、よく話してくれたんだよ、君のこと」
「……。ダイヤとは、なにもありませんでしたか」
「何って?」
「……や、あの…」

そうだよな、お世話になってる近所の子を看病してただけだし。やましいこと、とか、そんなことないない。うん。(とんだショタコン野郎なんて思ってたけど!)

「……なんでもありません。ダイヤのこと、ありがとうございま、ひゅ?」

いきなり頬をつねられて(痛くなかったけど)、語尾がおかしくなってしまった。な、なんだこの人。わけがわからなくて疑問符を浮かべていると、ゲンさんはちょっとだけ笑って、オレの頬から手を離した。

「ごめん、妬ましかっただけ」

にこやかに手を振って階段を下りるゲンさんを、オレは微妙な気持ちで見送った。あの、目は。


「パール、ゲンさんとなに話してたの?」

げほげほと咳込みながら、ダイヤが聞く。ああほら、ちゃんと寝てないと風邪悪化するから。いつもより高く感じるダイヤの体温が、少し怖くて。ぎゅっと抱きしめれば、やっぱりいつもより熱い。

「なんでもない」

いつかあの人は、お前を奪いに来るかもしれないから。

「早く、風邪治せよ」
「うん」




強敵、出現です



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28000打キリリクで、パルダイ←ゲンです^///^
リクエストしてくださった109uさんに捧げます…!!

私も風邪ネタ大好きなので嬉しかったです(*´ω`*)
微妙にパロディですいません…苦手でしたら申し付けください!←

リクエストありがとうございました!



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