めいん2

□でこちゅう
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額に当たる、柔らかい感触が気持ち良くてついつい放置しがちだけれど、そういえばここ最近は唇にしてもらっていない。
気づいたら気づいたでもやもやと気になるものだ、おいらは額に降る接吻に少し唇を尖らせて、彼のマフラーを引っ張った。

「ね、パール」
「ん?」
「おでこ、よくちゅうするよね、好きなの?」
「好き、っていうか…うん、まあ好きかな」
「すき、おでこが」

ぶつぶつと復唱すると、パールはちょっと笑って、つん、とおいらの額をつついた。

「好きは好きだけど、しやすいの、おでこ。キス」
「位置が?」
「ダイヤの前髪短いから」

ひひ、と嬉しそうに笑うパールに、妙に納得してしまう。前髪短いと、おでこの方がやりやすいのかな。
パールをまじまじと見上げてみると、なるほど、彼は前髪が長い…と思う。おでこは隠れてる。

「パールはおでこできない」
「そうかな」
「長いもん」
「かきあげたらできる」

ほら、と前髪を上げてみせるパール。こんなこと滅多にないから珍しくて、ついまじまじと彼の額を眺めてしまう。
おでこ、ひろいんだ。

「すごい」
「ダイヤモンドさん、見すぎです」
「パールの髪、ふあふあ!」

前髪を手でぐいっと上げてみると、パールの蜂蜜色の髪が柔らかく絡み付く。気持ちいい。
普段見られない、ちょっと広い額に、目が合うように少し背伸び。ダイヤさん近いです、そう言ったパールの耳が赤くて夕焼けみたいで、そういえば今日は夕立が来なかったなとぼんやり考えた。
パールの前髪をくしゃりと混ぜて、剥き出しのおでこにくちびるをおしつける。額が出てたらちゅうしやすいって、やっぱりあるんだなあ。

「…だ、ダイヤ、ちょ、ちょっと」
「やっぱり、おでこよりくちがいいな」
「も、おまえ、反則」
「なんで」
「なんでも」

じゃあくちにくれる?
柔らかい前髪から手を引いて、パールに言う。パールはおいらの後頭部に手を添えると、おまえほんとにずるいの、と笑って唇を重ねてくれた。





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