めいん

□パルダイ
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風に乗ってちらちらと舞う花弁を一枚手にのせて、しげしげと眺める。たくさん集まって木になっているときは綺麗なピンク色なのに、こうして単体になると途端に白く見えるから不思議だ。幼少の頃はそれがいつも気にかかって、花見の席でも弁当に一切てをつけずに桜ばかり眺めていたこともあったほどだ。花見は桜を見るのがメインだから、間違っていたとは思わないけれど。

「パール、なに食べる?」

重箱をあけて待機しているダイヤに、オレは桜から視線をうつす。そこには春らしい配色で美味しそうなお弁当が並んでいた。それらはすべて、この相方の手作りだ。食いしん坊の相方は、桜を見るよりもこっちがメインなんじゃないかな、なんて考えて、ひとりで頬を緩めた。

「んー、じゃ、卵焼き」
「そこからいくんだ〜、パールって卵焼き好きだよね」
「どっちかっていうと卵焼き全般が好きっていうか、お前の卵焼きが好きなんだけどな」

小皿に卵焼きを乗せている相方にそう言ってやると、嬉しいこと言ってくれるね、と笑われてしまった。あれ、今けっこう格好良いこと言ったと思ったんだけどな。
多少不服に感じながらも、相方手作りの卵焼きを口に入れる。うん、毎回ながら、醤油抑えめな薄味が素晴らしい。卵そのものの味と程よい砂糖、それから輝く黄色に半熟な感じ。

「うまー」
「えへへ、まだあるからね」

次は何にしようか、なんて考えてまた箸を動かす。ダイヤは珍しく弁当に手をつけずに、舞い散る桜をじっと眺めていた。花より団子、じゃないのかよ。

「珍しいな、ダイヤが桜眺めてるなんてさ」
「ん〜?そうかな?」

お花見なんだから当たり前なんじゃない?、なんて返してくるダイヤに苦笑して、卵焼きをもうひとつ口へ入れる。もぐもぐとそれを咀嚼しながら、次はおにぎりも良いなと考えた。

「昔は弁当ばっかり食べてたじゃんか、まあ今もだけど」
「そういうパールは、桜ばっかり見てたよね」
「えっ」

驚いた。見てたのか。
オレの顔をみたダイヤは、すごい顔だね、と笑って、自身の皿にもおかずをよそった。うん。やっぱりダイヤは色気より食い気だよな、なあんて。

「桜、きれいだね」
「うん、そうだな」
「来年もさあ、桜咲いたら、また来ようよ。今度はお嬢様も」
「それもいいなー」

他愛のない会話を交わして、ああ幸せなんて呟いて、また相方の手料理に舌鼓をうつ。将来はいい嫁になりそうだ、なんて、頭の奥で考えながら。





春の君へ、

(また次も)
(君と一緒)







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相互記念に「PPP!」の次屋円さんに捧げます!
お花見パルダイです。
かなり+っぽくなってしまいました…。すみませんorz
お花見シーズンのうちに!!と思って書きましたが…ダイヤくんの手料理食べたいです←←

次屋さんのみ、お持ち帰りOKです!煮るなり焼くなりお好きにどうぞ!!←
次屋さん、相互ありがとうございました!これからもよろしくお願いします!







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