めいん
□でもそれじゃ不安だから
1ページ/1ページ
.
かけろーだいちをー
はばたけーおおぞらをー
倒せーデモニッシュ……ピッ
「もしもし?ゲンさん?」
さて。
通話ボタンを押して電話に出たのは愛するオレの相方であるが……色々と突っ込みたくてたまらない。
なんでこの歳になって携帯電話の着信音が好きなロボットアニメソングなのか、とか、なんでオレと話してる時に平気で電話に出るのか、とか、…なんでその相手があいつなのか……とか。
ツッコミ担当の性か……いやはや。
「はい……はい、ええと、今ですか?」
ちらっとこちらを見る相方に、思いっきり不機嫌な顔でアイスティーを啜ってやった。なんだよ、あの人は。承諾すんな了承すんな。なんの約束か知らないけど、今はオレと会ってんの、取り込み中なの!!今から飛び入りなんて、絶対無理ですよ。無理。お父さん認めませんからね。
ぎろりと睨みながらずずっと音をたてる。ダイヤはあまりに大荒れな機嫌を隠そうとしないオレに、小さな笑いをこぼして片手でクリームソーダを掻き混ぜた。
「すいません、暇じゃ、ないです。また誘ってください。はい」
よく断った!!偉い!!偉いぜダイヤ、いやダイヤモンド!!いやまあ、当たり前なんだろうけどさ。
だがまた誘ってくださいっていうのはいただけないな。お断りするときの常套句っていうのは分かるけど、分かるんだけどね。次の約束とりつけてやしませんかね、ダイヤモンドさん?
「じゃあ失礼しま……え、おにぎり?」
まだかい。
早く電話切らないかな、待ってるこっちの身にもなれよな。
もうグラスには氷しか残っていないし、若干とけて水溜まりをつくっている始末。吸ってみても薄くしか味がしない。ぐぎぎ。
もう、これは、そろそろ。
「いいですよ?…じゃあ、今度作りに」
「行きません。」
「あえ?」
ピッ。
奪った相方の携帯電話の、電源ボタンを押して通話を遮断。待ち受け画面に戻ってからぱちんと電話を折りたたみ、ダイヤに放った。
ふむ。
「…って、ちょっとパール?」
「なに?」
「いきなり電話切ったりしたら、失礼なんじゃないかなぁ」
そういうとダイヤは、オレが放った携帯電話を拾い上げてリダイヤルしようとする。なんと。まったくもって鈍いやつめ。オレはその手を掴むと、ぐいっと引き寄せ、その無防備な額に頭突きを喰らわせた。
「いった!!」
「〜〜っ!!」
オレも痛かった。
「?…な、な…?」
「わっかんないやつだなぁ!!」
「え」
「電話すんなって、言ってんの!!」
「……なんで?」
ぶつけた額を押さえながら、それでも聞いてくる相方にいらいら。なんで、だと…?鈍いんだかなんなんだか、虚しい気持ちを抱えながらふうとため息をついた。こんなに好きなの、オレだけなのかな。
「ダイヤは、今オレと話してるだろ」
「うん」
「一緒にいるだろ」
「うん」
「オレは、その時間を大事にしたいの!二人がいいの!!」
がっしりと両肩を掴んで、分かるな?と問えば、ようやく伝わったようで。うん!という気持ちいい答えが返ってきた事に満足して、オレも笑った。
「でも」
「でも?」
「お別れの挨拶だけはちゃんとしないと!」
「………はぁ」
(それがお前のいいところだって)
(割り切っちゃえば終わりだけど)
-------------
それじゃやっぱり不安なんです
.