めいん
□サトピカ
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あいつのことは嫌いじゃないけれど、はっきり言って好きなわけじゃないんだ。
サトシをいじめていたようだし、サトシを馬鹿にしてくるし。そりゃあ、彼がむやみに突っ掛かっていくのも悪いと思ったし、だめな子がパートナーになっちまったぜ、と思ったこともあったけれど。
そして何よりあいつは、僕の知らないサトシを、知っているんだ。
「ピカチュウ?」
ぶす、と膨れる僕に、サトシはそっと笑って頭を撫でてくれる。
「なにむくれてんだよ」
べつに。
ぺいっとそっぽを向くと、サトシはふふ、と笑った。
「変なやつ。なあ、飯食いに行こうぜ!」
明日はシゲルに会うんだ。
そう、キラキラ話すサトシに、僕はいらいらするんだ。むう。
「なんだよ、ピカチュウは楽しみじゃないのか?シゲルとバトルするの」
楽しみ、だよ。
サトシと一緒にバトルするのはだいすきなんだから。でも。
むーっとする僕に、サトシはやっぱり、困ったように笑って、頭を撫でた。わかりっこないでしょ、僕の気持ちなんて。
「ピカチュウはシゲルがきらいなんだなぁ」
だから嫌いなわけじゃあないんだってば。なんで。サトシ、僕のことば、わからないくせに。肝心な時だけ、わかってくれないくせに。
「なんだよ、その顔は。言っとくけどな、分かるよ、お前の気持ちなら。どれだけ一緒だと思ってるんだ?」
つん、と小突かれた鼻を、そっとさする。
サトシの手が好きだ。あったかくて大きくて、優しい手。でも笑った顔ももっと好きで、大丈夫か、って心配してくれるところも好きで。それからまっすぐ前を見る、君の目も好きで。
だから、君のいちばん好きなシゲルが、僕はうらやましくて。
「好きだよ、ピカチュウ」
顔をあげた。
そこにはいつもと変わらない優しい、きみ。なんで。
「変にシゲルにギスギスしなくたって、オレ、ピカチュウのこといちばん好きだよ」
だから、大丈夫。大丈夫。ね。
暖かい手が優しくて、君の名前を呼んでみる。うん。
胸に飛び込めば、そのまま抱きしめてくれる。だいすきな匂いだ。
「ぴかぴ」
「ん?」
「ぴかちゅう」
「おれも」
(あいしてる、)
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シゲサト好きですが
サトピカもだいすきですん^O^
サトシたらし
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