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フタバ保育園。
その所々錆びてしまっている看板を見て、オレは幼い頃を思い出す。ガラス戸の先に座って、夕焼けと一緒に母さんを待っていたり、同じ組の子にちょっかいをかけられて、喧嘩になったり。
懐かしい、なあ。

このあたりに保育園はここしかないから、知り合いの子はみんなここに預けられていた。昨日から預かったダイヤも例外ではなく、かつてオレも通ったここに、今日は迎えでやってきた。

(遊具って、こんなに小さかったっけ)

記憶では頭上に大きくそびえていた恐竜の滑り台は、今やオレの胸くらいにしかない。左右が余るくらいあったブランコにはもう座れないし、広く感じていた砂場はとても小さくなっていた。不思議だ。

「あ!パールにいちゃん!」

ガラス戸の前で、若い保母さんと遊んでいたダイヤが手を振る。いつでも帰れるように、肩にかけられていた黄色い鞄を揺らして駆け寄ってきた小さな体を抱き留める。
保母さんは迎えに来たのが母親ではなかったからなのか、若干不審がるようにこちらを見ていた。



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