□おとなり
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電車の中。


俺はすぐ横で携帯をいじくってる女性のその画面を横目に入れてしまって。

その彼女が俺の知ってる人だと気がついてしまって、


驚いて3度も、瞬きした。





ジョンヒョン「・・・・・」


なまえ「・・・・・」



息を殺すように。

お互い一言も発しない。


当然か。普通見ず知らずの人間同士が座る公共の場で、気軽に隣の席の人に話しかけたりなんかしない。


だけど、俺には隣の彼女が知り合いだった。



ミンホの彼女はなまえと言う。


出来たばかりだというが、"ばれた"だけで本当は2年も前から付き合ってることを知ってる。

祝い事もイベントもそつなくこなし。

多忙なスケジュールのミノに合わせてデートをこなすなまえは、

俺から見れば出来すぎた女で。


一度でいいからその顔を拝んでみたい…なんて思っていた矢先の、コレだ。


隣の彼女はさっきから俺の空気に気付くこともなく、ミノとメールをしている。


今電車の中だよ、から始まり、どこの駅、駅についたら何をする、今日の予定、次から次へとメールを返していく。

ミノもまめだなぁ、と思いながら、返信の速度に感心する。


ガタンッ、と

大きく電車が揺れて。しばしの緊急停止。


俺は彼女の手から滑り落ちた携帯電話を、咄嗟に両手でキャッチしていた。



ジョンヒョン「おおっとッ・・」


なまえ「あ、ありがとうございますっ」


ジョンヒョン「どういたしまして」



いつもミノがデレデレに自慢する彼女が、実際こんなにかわいくて、・・・・むかつく。



がこんっ、とまた動き出した列車は、すぐに到着の駅に着く。


俺は腰をもちあげて立ち上がり、彼女に言った。




ジョンヒョン「あ、ごみがついてますよ?」


なまえ「え・・・っ?」



思わず顔を上げた彼女の、睫毛についた埃を取り払うフリをして、近づきざまに顔を寄せた。


俺は君を残して一人電車から降りていった。





君に触れるようなキスを残して。



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