□盛ってる時は勘弁して
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どんなに乙女だとかオンマだとか言われてたって、
キボムは男の子だ。
正真正銘男の子。
つまり、
性欲に多感な時だってあるわけで……。
「なまえ〜ね〜なまえ〜」
「だぁあっ!!うるさいっ!!!盛んないで!!」
「人をどっかの犬みたいに言わないでよ〜、ね〜、ぎゅってするだけ!ねっ?」
「ぎゅっで済まないでしょ?」
そんなことないとフルフル首を振るキボム。どっかの誰かさんとよく似てる。私は少しずつ距離を取るように遠ざかる。
この時期のキボムはたちが悪い。
前だって、会いたいのにあえなくて、一時期の電話代はやばいことになった。
一晩中電話を放してもらえなくて。最終的にテレフォンセックスに発展しそうになった時にはさすがにガチ切れた。
キボムの本性はものすごい甘えただ。
「ねぇ…キボム、」
「ん〜」
普段押さえ付けてオンマ役に徹してるからかなのか…
キボムはたぶん、箍が外れたように、時々私に甘えたがるんだと思う。
普段はつんけんしてるくせに・・・。
それはすんごいギャップなんだ……。
「この前キボムのお気に入りの柔軟剤使ったって言っても怒んない?」
「怒んない」
おずおずと口にだす言葉に、
キボムはやさしくわらって、嬉しそうに両手を広げた。
「じゃあ、ぎゅ…、だけね」
そう言って腕の中に入れば、うそばっかり、と思うまもなく。あっという間にキスの荒。
耳からこめかみから瞼の上まで。舐め上げるように首筋を這い上がってくる。
「やぁ・・っこら…、」
「だってなまえいいにおいがするんだもん…」
「キボムの柔軟剤の匂いでしょ…っ」
ちがうよ…なまえのにおいだよ、と唇にキスを寄せられたらもう…、言葉で断ることができない。
重ねた口づけに、観念したように彼の首に腕を回そうとしたら、
指を絡められてそれを阻止された。
キスはまだ続行中。
どうやらからだには触らせてはもらえないらしい。
「…ドエス、」
「なまえにしか甘えられないの・・」
ようやく離れた唇に、息を吸って言葉を吐きだしたけど、すぐにまた口を塞がれた。
この時期のキボムはたちが悪い。
ものすごく甘えん坊で、
ぜんぶ自分が思った通りにならないと気が済まない。
「たちが悪い・・・」
だけど私は、両手を彼にひとつにまとめあげられながら、
その噛み付くようなキスを受け入れる―。
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