□女子力コンプレックス
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なまえはたこ焼き屋の前で、男らしく脚を組んでベンチに座って携帯を見てた。


視線を落としたまま画面に夢中になっていると、胸元に横から腕が伸びてくる。



key「髪の毛ついてる」


なまえ「おー、サンキュ」


key「誰にメールしてんの?」


なまえ「ジョンヒョン。今8分待ってます、って」


key「そうなんだ・・」



なまえの横には今、キボムが座っている。


それに気にする様子もなく、なまえは携帯を打ち込むのに夢中。


キボムはちょっと暇そうに脚をぶらぶら揺らして。それから青いソファーの上に横で手をついてるなまえのその片手に、

自分の小指が触れそうになってたのにハッ、として、少しオーバーに片手をベンチから離した。



なまえ「・・・・どうした?」


key「やっ・・なんでもな、いけど・・」


なまえ「あっそ?」



ジョンヒョンに、たこ焼き買ってきて、と頼まれて外に出かけようとしたなまえの背中を追いかけてきたのはキボムで。


ちょっと意識して欲しいなんて期待してついてきた数分前の自分に肩を落としつつ、

キボムは視線を落とした先のなまえの指先に目を止める。



key「・・・・爪・・きれいだね・・」


なまえ「・・・へ?」


何の手入れもしてない爪の先を持ち上げて、

なまえはくすくす笑いながらその指をキボムに見せてくる。



なまえ「なぁんにもしてない手よ」


key「何にもしてないのにきれいだから、すごいんだよ」



こっちを向いた彼女の顔をじーっと見つめ、キボムは瞬きする彼女の目の下についてた睫毛を、指でつまんだ。




なまえ「キボムはいろんなとこに気がつくね。・・女の子みたい」


そう言って彼女が無造作にかわいらしく女の子の顔で笑うから、キボムはちょっとむすっ、とした。




key「・・・・・むかつく、」


なまえ「・・・・へ?」



key「なんでもない・・」




まるで自分が男だなんてこと、これっぽっちも意識してもらえない。


キボムはぎゅっ、と奥歯を噛んで、唇を尖らせた。



なまえ「・・・・どしたの?」

key「べつに。僕は男の子だから、女みたいだなんて言われてもちっとも嬉しくないんだ!ってこと!!」


そう言って立ち上がり、

言われた番号札を奪ってカウンターに駆けていくキボム。



なまえは手持ち無沙汰に自分の腕を組んで立ち上がった。



なまえ「・・・・あべこべだなぁ・・・」


キボムが大事そうに抱えてきた紙袋の中身に、くん、と鼻を突っ込むようにして匂いを嗅ぎ。なまえはキボムの背中にくっつくように歩き出した。


key「お前が男らしすぎんだよ」

なまえ「ヲヲ…!」

key「俺付き合うならぜってー俺より女子力高いやつと付き合う!」


なまえ「ヲヲ・・・」


その口の悪いのが治ればねー、と笑いながら。





なまえはへそを曲げたキボムの背中の裾をツン、と摘み、歩いた。





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