□本当の笑顔
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「ジョンヒョンくんの笑顔って・・・何考えてるかわかんない」







正直・・・


そんなことを言われた事がなくて、戸惑った。


ヌナは時々、読心術でもあるんじゃないかって思うくらい俺の心を読むから付き合いづらい。



君に笑っててほしいから、笑顔を作るのに、


君はそれじゃあ満足しない、って言う。



俺が心から笑ってなきゃ、君は嫌だ、っていうんだ。


だけどね・・・・?





ジョンヒョン「・・・・俺が、不器用なの、知ってるでしょ?」





なまえ「みんなは笑えるのに、どうしてジョンヒョンだけ笑えないのよ」





君は怒ったように雑誌を広げて、俺に見せて言う。




ジョンヒョン「何度もテイク取り直してOKもらってるんだからいいじゃん・・」



なまえ「あたしが満足しないの!」



ジョンヒョン「しょうがないじゃん・・・・俺、笑顔に何考えて、なんて指示されてなかったし」


なまえ「みんな一番楽しいこと考えて笑顔作ってるよ」


ジョンヒョン「たのしいことが思い浮かばなかったの」




なまえ「なん・・でっ・・」







言い終わる前に、なまえちゃんが気が付いたように言葉を失う。







ジョンヒョン「だって俺・・・・その日君と喧嘩しちゃったから・・・」






撮影をする数時間前。


俺と君は喧嘩した。


些細なことで口論になって、君も俺も双方謝れないまま、俺はその日の撮影に向ってしまった。


あたまの中に思い描くのは、さっきの君の泣きそうな顔ばかりで。


君には笑ってて欲しいのに・・・


俺は後悔ばかり。



そんな時に笑顔を作れだなんて・・・







正直、俺にはどういう顔をしていいのかよくわからない。











ジョンヒョン「俺は器用じゃないから・・・・、いっぺんにそういろんなこと、考えられないよ」




真面目な顔して言うと、



君は困ったように笑う。





なまえ「・・・あたしのこと、なんて・・・」




ジョンヒョン「君のことしか、考えられないんだよ」





俺は俯いてた顔をあげて、少しはにかむように笑った。






さっきまで怒ってた君も、今は困ったように戸惑ってる。




ほら、



今ならきっと・・・君のことでいっぱいの笑顔になれるよ。






ジョンヒョン「・・・・・なまえ、ごめんね?」



なまえ「・・・・・・・・ばかね」




バカな男だよ、俺は。





君が俺を満たしてくれなきゃ





俺は本当の笑顔になんてなれないんだから。



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