□いつ、暇?
1ページ/1ページ





「いつ、暇?」




高校生のテミン君がにっこりと笑って言う。


屈託のない笑顔。


子供みたい。


いや、実際子供だけど。


若いっていいよね。


なんかこう・・・下心?も何もなくてさ。


後先なんて何にも考えなくて。


ただちょっと自分と時間を潰してもらいたいだけ。


けど、残念。




いつからだろう・・・。




私にはもうそんなに、無駄に時間を使ってる時間はなくなってしまったの。


時間を使う事が、労力だと思うようになっちゃったのはいつからなんだろ。





大人は子供のように自由に時間を使えない。





テミン「ねーヌナぁ、いつ暇?」


なまえ「いつも暇じゃない」


テミン「一週間のうち自由な時間くらいあるでしょ?」


なまえ「そういう時は自分のために使いたいの」


テミン「僕にもちょっと分けてよ?」


なまえ「あのねぇ?」




少し怒ったように、置かれた手を振り払うように肩を振れば、


振り返った先のテミン君は、可愛らしく小首を傾げてる。




なまえ「そーいうことしても、ダメだから、」



テミン「そーいうこと、って??」



きょとん、と首を傾げる。


こういうのが、天使とか言われてる所以なんだろうか。



テミン君はニコニコ笑って私を見てる。


メールじゃ何度言っても埒があかないから、直接言えばなんとかなるとでも思ったのかしら?


だいたいテミンくんと時間使って遊ぶって何して・・・?


おおかたドライブ?


それとも食事を奢って欲しいって意味だろうか?


案外彼女にあげるプレゼントを買いたくて大人の私が知ってるお店を知りたいとか?

・・・いやいや、彼女が居たらまずおばさんとは遊ばないだろ。←



私はニコニコしているテミン君を神妙な面持ちで見つめる。




テミン「・・・・・ど、したの?」



あんまり渋い顔をしていたのか、


テミン君が心配そうな顔になる。




なまえ「いや、なんでもない」


テミン「で、いつ暇なの?」


なまえ「だから私、暇な時間ないんだけど」


テミン「ヌナ、時間っていうのはあるもんじゃなくて作るものなんだよ」


なまえ「うっさい。ないものはないわ」



急になんか大人みたいな言い方するものだから、頭にきてそっぽ向いた。


テミン君はうしろで左右にゆらゆらカラダを揺らしてる。


そのまま諦めて帰りなさい、って思うのに、



・・・・テミン君は、まだ諦めない。



テミン「・・・ねぇ、僕にもなまえの時間わけてよ?」





真面目な顔して言うテミン君。




あんまりそれが真剣な顔だったから、なんだかこっちが悪いことをしているみたいな気になってくる。


私はちらりと横のカレンダーを確認する。


どうやら水曜は5時で上がれそうだ。


年下とご飯くらい・・・たまにはいいじゃないか。


そう、思うことにする。




・・・・高校生。



いやいや、私にやましい気持ちがあるわけではなくて。←



純粋にただ、ご飯を奢るだけ。


・・・ヌナだから。





私は何度も躊躇うように眉間に皺を寄せ考える。






なまえ「・・・・・・・水曜日、1時間だけね」





テミン「それ、昼休みじゃなくて仕事終わった後だよね?」


なまえ「あーうん、そうだけど?」


テミン「別にそのあとも用事ないんだよね?」



なまえ「・・・」




テミン君はそう言うと、私の顔を見てにんまりって口角を上げて笑った。





・・・・ん?

え・・あれ?



1時間・・・・・だけでは、ない感じなんですか、ね?







【いつ、暇?】










[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ