□きらい？
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「キボムが大っっきらい!!!!」
顔を見れば言われて。
服の色が被れば舌打ち。
ペアルックにでもなった日にはｼﾞｬｹｯﾄを脱いで投げ捨てられた。
まったくもって僕はあいつに好かれてない。
好かれてないなんてもんじゃない。きらわれている。
別に無視されるわけじゃない。
顔を見れば「今日もむかつく」とか頬を抓りながら「相変わらず憎い」とか。
はたから見れば"愛情表現なんじゃないの？"なんて。お門違いな返答が返ってきたりもするが、
本人はいたって僕のことを毛嫌いしている。
ルックスにしても
ファッションにしても、
なまえと僕は似通ったセンスの部分が多い。
価値観や考え方も似ているし、
他人の話でうんうん、と頷くところが同じだったり、
第一お気に入りの店が同じすぎて服がかぶり過ぎる。
僕となまえはとても似ている部分が多い。
なのに、
「キボムが大っっきらい!!!!」
ほら、また。廊下でばっかり会えばいや〜な顔をされて。僕に言うんだ。
戒めのように
毎度毎度言われる言葉。
「････知ってんよばーか」
「なまいき！いちお年上なんですけど！」
「うるせーなちびのくせに」
「どの口がそんなこと言うわけ？」
煩いので羽交い絞めにしてやると、
胸の中でおもいのほかｼﾞﾀﾊﾞﾀ暴れられた。
「････なにしてんの？」
「Σはなしなさいよバカ！」
「それ嫌がってるの？」
「Σ見てわかんないの？！」
「･････カワイイナ、」
腕に閉じ込めたとたん耳まで赤くするなんて反則だろ。
どうしよう。
この、超絶僕のことをキラッテイルこのおんなのことを･･･
好き、だなんて。
はまってしまっているみたいな僕は。
【きらい？】
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