□マンネリカップル
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オニュ「なまえ〜〜〜っ」




予想以上の大きな声で名前を呼ぶので、私は慌てて駆け寄った。



なまえ「どっど、どうしたのっ?!」


おろおろした顔で目の前に来れば、


オニュは平気な顔していう。



オニュ「疲れちゃった。マッサージして?」


なまえ「・・・へ?・・え?」


オニュは今の今までしていたゲーム機から手を離し、その手をおもむろに私に向けてくる。



なまえ「・・・・え?え、なにこれ?」


オニュ「なにって。手のマッサージしてよ」


なまえ「え?、どんなVIP待遇?」




今の今まで暇つぶしでもなんでもないゲームに没頭してて!

2時間もほったらかしにされたあげくに、急に大声で呼び出したかと思ったら、

手ぇマッサージしろ、だぁ?



なまえ「どうゆう了見だごるァ?」


オニュ「彼氏の特権だごるぁ」


なまえ「バカジンギ!」


オニュ「ばかなまえ!」


なまえ「Σはぁぁっ?!?」




なんかもう泣きそうになる。


洗い物をしてた手を、ようやくエプロンの裾で拭き、

私はまだその、差し出された、ままの、ジンギの手を握った。


血液は脳にでもいってたのか。末端まで冷たくなったその指先を握ってがっくりする。


なまえ「・・・・つめたいね」


オニュ「心があったかいからね」


なまえ「ばーかばーか」


ぎゅっぎゅっ、と力強く手の平を押し込む。

オニュの手は少しむちむちしてて触り心地がいい。



オニュ「気分乗ってきた?」


なまえ「ばーかばーか」


いいながら指と指の付け根をぐりぐり押してやる。


オニュは鼻で笑って平気な顔してる。


・・・むしろ楽しそう。



なまえ「・・・・こわいんですけど、」


オニュ「へ、ぇ?」



間の抜けた返事をかえされて、思わずふきだしてしまう。



なまえ「なにマッサージで呆けてんのよ、」


オニュ「なまえのマッサージ気持ちいから」


なまえ「お望みならボディもやりましょうか?」


オニュ「ボディはいいや」


なまえ「え、なんで?」


オニュ「別の意味で気持ちよくなりたくなりそうだから」


なまえ「パーボパーボ」



ストレッチまでおえた指先を、離そうか、としたところだった。




オニュ「・・つかまえたっ、」






急に、ぎゅっと体を引き寄せられ、オニュに抱きしめられる。


なまえ「わっぁ、」


驚いて体勢を崩し寄りかかるようになると、オニュはぎゅうっ、とからだを包むと、匂いをかいで、はぁ、と息を吐いた。



オニュ「・・・ようやく、落ち着いたっ」



なまえ「・・・え?」



オニュ「なまえはせっかく一緒に居てもぜんぜん僕のところに来てくれない」


なまえ「何かホラ・・・・鞄からガサゴソなんか出したりしてたからさ・・?」


オニュ「台所にこもって出てこなくなったのはそっちでしょ?」


なまえ「お腹空いてたりするのかなって思ったの!普通そっちが"何してるの?"って来てくれるんじゃないの?!」


オニュ「彼氏が着たら普通"おかえり〜ハグ!"くらいするでしょ!せめて"何持ってきたの?"とか訊こうよ?」


なまえ「何持ってきたの?」


オニュ「マイハブラシ!」



なまえ「・・・・・プハッ!」



なにそれ〜〜っ!!!とお腹を押さえて笑う私をうしろから抱きしめてたオニュも、一緒に笑ってた。




なまえ「・・・ジンギさっき、マッサージされてる時、幸せそうに笑ってたよ」


オニュ「至福だったんじゃない?」


なまえ「えー?あんなことで??」


まだ肩を揺らしてくすくす笑うと、オニュがきゅっと抱きしめて頭を寄せてきた。






オニュ「・・・・なまえとくっついてんのが、一番幸せだよ・・」




ぎゅう、と抱きしめられた体温が心地よくで。どきん、とする。











なまえ「・・・・ジンギ・・・好きだよ?」


くるりと振り向きざまにそう言うと。



オニュ「・・・反則だよ、」



っていいながら。

舌を出したジンギにそのままキスされた―。









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