□チョコレートもいいけど…ヌナちょうだい
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寒空の中待っているのには理由がある。
白い息を手袋をした手に吐いて君を待っている僕。
今僕は。
君に恋をしているよ。
体がすっかり冷え切ったころ、○○○がやってきた。
ごめんごめん、と言いながら、僕を見つけるなり走り寄ってくる。
二人で待ち合わせした場所はなかなかの田舎町で。
僕はきれいな満点の星空を見上げながら君を待ってた。
星が手を伸ばせば届きそうなほど近くて。
一面を覆うその青白いぼうっとした光の海に、
僕は一瞬住んでいる世界を忘れそうになった。
そんな幻想的な場所でヌナと待ち合わせしたのは、
ここが僕とヌナの思い出の場所だから。
僕がまだてんで子供でわがままを言って駄々をこねた時、
○○○ヌナは僕を連れてこの場所にやってきた。
この一面の星空を見上げて僕はヌナに告白をしたんだ。
忙しくて、年末もクリスマスもろくに恋人っぽいことができない僕ら。
だからせめてこの2月だけは、僕と○○○ヌナの大切な日にしようって。
毎年必ずここで会う約束をしていた。
どんなに遅くなっても。
僕たちはまたこの場所で愛を誓う。
○○○「遅くなっちゃってごめん…っ」
テミン「仕事、忙しかったの?」
○○○「うん・・あ、これ・・・お店で今年一番の売れ筋商品だよ中にいちごとミルクが・・・」
テミン「そんなことより・・・」
がそごそと紙袋から包装された箱を取り出そうとする○○○の手を抑えて、僕はぎゅっ、と冷たい体で抱きしめた。
○○○「わっ・・・冷たっ」
テミン「チョコレートもいいけど…ヌナちょうだい?」
優しく甘い口どけのようにそういうと、
ヌナの唇が僕に重なる。
この甘さはきっと、毎年・・・どんなチョコにも敵わない。
唇をはなした時にでた互いの白い息が、星空の中に消えていった。
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