□日々がキミ色
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○○○「・・・・・音読、しなくていい」
ベッドの上にあぐらをかくように座った○○○。
オニュ「僕の気持ち、わかってくれた?」
僕は、○○○へのラブレターとして紙に書いた文章を、表彰状をもらう時みたいに音読して、その紙を○○○に渡した。
○○○は黙ってそれを受け取り、ベッドの脇のサイドテーブルに投げた。
オニュ「・・・・・ものすごっく、怒ってるの?」
○○○「ふ、つ、う、バレンタインなんて一大イベントを忘れる?」
腰を引き気味にソロリと訊いてみた言葉は、スパンッと一刀両断された。
僕はつい、3週間前に言われたことをすっかり忘れて、
バレンタイン当日にすっぽかす、という大失態をやらかした。
おかげで彼女は2週間口もきいてくれないし、メールも返してくれない。
ぽつり、ぽつり機嫌のよくなってきたメールに返信を繰り返し、ようやく今日、ホテルにまでたどり着けたのは、
彼女を怒らせてから3週間ぶり。
オニュ「機嫌…直して?」
○○○はちらりと、サイドテーブルに置いてあった手紙に目を向けて言う。
○○○「これ・・・・・どのくらい、かかったの?」
オニュ「え…時間?・・・・そうだなぁ…5時間…くらい…」
○○○「かかりすぎでしょ」
○○○がぷっ、てふきだして笑った。
久しぶりに見る。
○○○の笑顔。
僕はその顔が見れて、安心したようにふにゃりと笑った。
けどすぐに「パボッ!」って言いながら○○○からの速球の枕が飛んできた。
僕はそれを胸の前で抱えて、ガードしながら君に近づき、ベッドの横に座る。
オニュ「ごめん、ゆるして、ホワイトデーなんでもする」
○○○「じゃあ結婚して」
オニュ「わかった」
○○○「え、ちょ…!」
○○○が慌てたように僕の腕を掴んだ。
オニュ「ん?」
○○○「冗談だよ!」
オニュ「僕べつに冗談にはきこえなかったけど?」
○○○「ダメ!ジンギ!簡単にそんなこと言わないで!」
オニュ「べつに簡単に言ってるつもりはないよ?」
真顔で小首を傾げると、今度は反対に○○○の方がおろおろしだした。
僕は、
君を手放すつもりなんてないのに…。
そう思いながら、
そっと、君の頬に手を当てて唇に吸いついた。
○○○の息が苦しくなるまで離せずに、いったん呼吸をしてもまたキスを繰り返す。
何度も何度も啄むように甘噛みして、○○○の肌を撫でた。
頬に触れて、髪を撫で、ぴちゃぴちゃ音を立てながら舌先を絡めて、深く捩じ込むと、吸い付くように口内をまさぐった。
○○○「・・・・んっ、ジン‥」
吐息混じりに名前を呼び、やんわりと胸を押し返そうとしてくる手首を掴みあげ、
いったん、顔を上げると、真っ赤になっている○○○に口角をあげてまたキスをした。
深い、唯のからだを全部味わうような…大人のディープキス。
それこそ。この3週間分の想いを全部込めて。
オニュ「○○○・・・」
鼻先をくっつけて、くぐもった声で名前を呼べば
君が甘い吐息を吐きながら僕を見上げていた。
オニュ「ゆるしてくれたら、○○○が欲しいもの、あげる‥」
○○○「・・・い、じ、わるっ」
○○○はそう言って、僕の首に腕を回して自らキスをした。
これで…仲直り、だね。
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