□心臓を捧げよう
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地位や名誉?それとも権力?
財産?お金?宝石?
君が欲しいものは、どれも違うって言うね。
だって君が本当に好きなのは、俺だから。
ジョンヒョン「なまえちゃん、こんな夜中に鏡の前で何の練習してんの?」
なまえ「"心臓を捧げよう"のポーズの練習してんの」
ジョンヒョン「いや、見れば、わかる」
なまえ「"これが本物の敬礼だァ!"」
ジョンヒョン「いや、声に出さなくて、いい」
なまえ「・・ジョンヒョンこそ、こんな夜中に何しにきたの?」
ジョンヒョン「・・・・・」
なまえちゃんは、俺の彼女。
一癖もふた癖も変ってる、俺の風変わりな彼女。
なまえちゃんは今度、俺のハイタッチ会に来るらしい。
2週間も前からすこぶる楽しみにしている。
毎日パックとハンドマッサージして眠るほど期待しているのに、なぜか俺が遊びに行くと、
なまえちゃんは鏡の前で軍隊のする敬礼の練習してる。しかもそれは間違いなく俺が見てるアニメの敬礼だ。
なまえちゃんは、俺が来たのにも気に止める様子もなく、
さっきから、敬礼の場所を変えたり、お辞儀する場所を変えたりしながら、時々、そこがハイタッチなのか、両手をばんざいするポーズを取りながら、何回も練習を繰り返している。
ジョンヒョン「訊くけど、さっきからそれ、なにしてんの?」
なまえ「ハイタッチ会の練習」
ジョンヒョン「練習、必要?」
なまえ「必要!超必要!オニュから始まるのか、きーくんから始まるのかもすごい重要!」
ジョンヒョン「ちなみにその敬礼、誰にすんの?」
なまえ「こんなふざけたこと2人にしかできないよ」
ジョンヒョン「あ、そうなんだ。で、ハイタッチしたあとはどうなってんの?」
なまえ「お先に失礼します、って頭下げて帰るんだよ!」
ジョンヒョン「・・っ!」
俺は盛大にふき出して、その場に蹲るように腹を抱えて笑った。
なにハイタッチできるの1人だけって・・・っ、
え、なにそれ!
なんでそんなに頑ななんだよ・・・!
ジョンヒョン「あっはっは・・・・お嬢様はアホでいらっしゃいますか!」
なまえ「ばーか、」
なまえちゃんは、ひーひー笑う俺の顔見て、むくれたように頬を膨らませた。
ったく、
なんでこんなに真っ直ぐなんだろう。
バカ正直。
ほんと、ばかみたいにかわいい。
ジョンヒョン「なまえちゃん、」
俺は、名前を呼んで彼女を手招きした。
鏡の前に立ってた彼女は、すぐに振り向いて俺の方へ来てくれる。
なまえ「なぁに?ジョンヒョン?・・・わたし、ジョンヒョン以外と触れ合いたくないな?」
ジョンヒョン「普通ね、もっと喜ぶと思うよ?もらえるもんは貰っとくし、出来ることはしておくと思うよ?」
なまえ「でもわたしは本当に、身も心もジョンヒョンだけがいいんだもん。ジョンヒョンだけ!がいい」
ジョンヒョン「わかったわかった、」
なまえ「本当にわかってないでしょ?今、心の狭い女だって人小ばかにしたでしょ?!」
ジョンヒョン「してないって(笑)」
なまえ「笑ってるもーーんっ!!」
あー、本当に面白い。
君は本当に、俺だけが好きなんだね。
【心臓を捧げよう】
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