□きみがかわいくて
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※会話文のみ








「もう・・・おばさんだよね・・・」



そう言ってうっすらと笑みさえ浮かべるなまえちゃんに、


俺は少しムッして腹を立てたまま黙った。






「なまえちゃんのそういうとこ、好きじゃない」


「ごめん・・・」


「謝るなら俺じゃなくて自分に謝ってよ」


「・・・・だって・・」


「だってだもん禁止だってゆったの、なまえちゃんだよ」


「ジョンヒョンは何でも自信があるからそう言えるんだよ!」


「俺は努力してるからね」


「・・・・・」


「うそだよ。俺だって、自信があるわけじゃないよ」


「え?」


「太ったねとか言われれば気を遣うし、痩せ過ぎたら筋肉つけなきゃとか。けっこープレッシャーもあるよ」


「ジョンヒョンが・・頑張りやさんなのは、知ってるよ・・・」


「俺だって、なまえちゃんが頑張ってるの知ってるよ?」


「・・・・」


「なまえちゃんは、可愛いから美しいに変っていくのが受け入れられないんだね?」


「え?」


「俺らもみんな、子供だった可愛いから、大人のかっこいいに変っていくじゃん。でも、可愛いが好きな人には、かっこいいは受け入れられないよね?そういう、可愛いからかっこいいに変っていく変革期っていうのは、誰でも悩むものだと思うよ」


「そうかな・・・」


「なまえちゃんは最近、可愛いから綺麗になったんだと思うよ」


「・・・・」


「ね?意外としっくりくるでしょ?可愛いじゃなくて、なまえちゃんは綺麗になったんだよ。大人になったの。ピンクよりも赤が似合うようになって、黄色よりもブラウンが似合うようになって、ブルーよりもアイボリーが似合うようになる・・・それは決して、悪いことじゃないんだ。なまえちゃんは今、今まで着れなかった新しい色が似合うようになったんだよ」


「そんな・・・単純なことかしら・・」


「単純なことだって。好きな色を変えればいいんだから!今までどんなにピンクが好きだったとしても・・今日からは、赤を好きになればいい。それは駄目なことでも悪いことでもないんだ。なまえちゃんは、赤が似合う女性になったんだよ。きっとこれから先、赤から黒が似合う時期が来るかもしれない。俺だってみんなだって、そうやって変ってきてるんだよ?」


「ジョンヒョンも・・・かわった?」


「いつまでもカラースキニー穿いてるアイドルで居られないでしょ?それと一緒」


「穿いてもいいよ?」


「ずっと、変らないままじゃいられないんだよ」


「・・・・」


「なまえちゃんは、変化が怖いんだね。だから、ずっと好きだったものを手放せない・・・」


「だって・・・変ったら・・・・駄目、だから・・・・ずっと・・・変らないことが・・・」


「ずっと変らないでいてくれることはいいよね。なまえちゃんがこの先ずっと、俺のことを好きで居てくれたら、嬉しい」


「好きだよ・・っ!」


「俺も・・・好きだよ?」


「え?」


「でも俺は、変っていくなまえちゃんも、好きだよ。いつかなまえちゃんのことを、なまえ、って呼び捨てにするようになったり、なまえちゃんのことを、彼女じゃなくて妻って呼ぶようになったり・・・」


「ジョン・・ヒョン・・」


「俺もなまえちゃんも・・・・変っていくと、思うよ。だから、俺も変るし、なまえちゃんも変るの。変らないことなんて・・・ないよ」


「・・・っ、」


「だから、俺も変るから。なまえちゃんも、変ってよ?ね?なまえちゃんだけが変らないままだったら・・・・俺だけが・・・なまえちゃんと離れちゃうみたいじゃん。それとも、俺は出会った時からぜんぜん変ってない?」


「変った・・けどかわってない・・」


「ぷっ・・・なにそれ。俺、かわってないの?」


「ちがう。ジョンヒョンは私の中でずっとジョンヒョンなんだもん。ぜんぜん・・・・かわってないよ・・」


「俺だって同じだよ。なまえちゃんはなまえちゃん!出会った時からぜんぜんかわってないよ?」


「かわったよ・・・・」



「俺はそんなに、見た目にとらわれてないよ。変ったとしたら・・・なまえちゃんがちょっと、卑屈になってきたとこ、かな」


「・・・・・(むすっ)」


「そーいう顔も可愛いけど駄目」


「可愛い顔なんてしてないんですけど」


「俺はなまえちゃんには盲目になってるから何してたってかわいいよ?」


「それじゃあ当てになんないじゃない」


「なに、俺以外の人に可愛いと思われたいの?」


「違う。世間一般的にジョンヒョンにつりあう人になりたいの」


「俺が満足してるだけじゃだめなの?」


「だめなの」


「好みの問題でしょ。ミノがタイプのやつだっているし、テミンがタイプのやつだっているし。俺は、なまえちゃんが好みだって言ってるんだから」


「ジョンヒョンみんなにかわいいって言うから」


「なに、俺の言葉は信用できないってか」


「そうじゃないけど・・・・自信は・・・・ないから・・・・」


「世の中に、コンプレックスがない人間なんていないと思うぞ?みんな、どこかしら、自分が持ってないものに憧れて生きてんだから」


「ジョンヒョンに足りないものって?」


「身長?あとルックス?小顔とか?」


「どれも持ってるよ、大丈夫だよ」


「それ、なまえちゃんがそう思ってるだけでしょ」


「いいじゃん」


「・・・・・・・・・それと、同じことだよ」


「え?」


「なまえちゃんがコンプレックスに思ってるとこはたぶん、俺がなまえちゃんを好きだなって思ってるとこの全部だよ」


「ほんと?きらいなとこ・・・・ない?」


「ないよ。ぜんぜんない。むしろ、なまえちゃんが変っても、嫌いになるとこなんかないっ!」


「ピンクから赤になっても?」


「むしろ、赤が似合うなまえちゃんが、もっと好きになっちゃうかもしれない」


「じゃあ、ピンクの時はいまいちだった?」



(むにっとほっぺたを摘まんで)

「なんでそういうこと言うの?俺はなまえちゃんのすべてが好きだって言ってんでしょ?」


「ひゃ、い、ごめ、んな、ふぁい・・・」



「ふっふふ・・っ」


「なんで笑ったの?」


「変な顔だったから」


「ひどい」


「俺も変な顔するでしょ。目ぇあけたまま寝るし」


「別に平気だよ。変じゃないよ」


「俺もだから、なまえちゃんの変な顔も好きだよ」


「変な顔にしたのはそっちでしょ」


「だから、なまえちゃんで嫌いなとこなんてないって。変わって・・いってよ。俺ちゃんと追いつくから。なまえちゃんのほうがお姉さんだから、不安にさせちゃうとこ多いかもしれないけど・・・・・・俺も、ちゃんと・・・追いつくから」


「・・・・・・・・・・・・ん、」



「よかった。ちゃんと、待っててよね。浮気なんてしないでね。年上の社長さんとかに引っかからないでね」


「・・パボ」


「ふふ・・・っ。いつものなまえちゃんだ。かわいい俺のなまえちゃん」


「そのうち可愛くなくなるよ」


「俺にとっての可愛さは、外見じゃないよ」


「じゃあ何なのよ?」


「おしえなぁい」







【きみがかわいくて】
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