□雪跡
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【雪跡】




その日は、久しぶりの大雪で。

積雪した外の景色にはしゃいだ彼女が、「外に行こうよ!」と俺の手を引いて連れ出した。

白銀の世界は目に眩しく、俺はきらきらする世界と彼女の姿に眼を細めて、口元を緩ませた。


「コンビにまで歩こうよ」


そう言って先を歩き出す彼女の背中についていく。


さく、さくっと雪の地面を踏みしめていく彼女の足跡を見つめながら俺が歩いていると、


ふと、彼女が立ち止まって、俺に振り返った。


雪のちらつく中、歩いているのは俺と彼女くらいしかいなくて。


こんな中歩いてきた足跡が、2人分くっきりとここまで残ってる。




「ジョンヒョンと私の足跡、違うね?」



「んあ?そりゃあ、そうだろうよ?」


「靴の大きさあんまりかわんないのにね?」



言われて俺も振り返れば、たしかに、俺となまえの雪の上の痕跡は違っている。



俺の足跡は、雪の下の地面まで踵の方がついてちゃいろっぽくなった足跡。


なまえのは、雪の上にぽっかりと靴の分だけ雪を抜き取ったような足跡。



新雪を踏みしめて残したなまえの足跡は、綺麗にその跡だけを雪の上に残していた。




「俺となまえの重さが違うからだろ」


「重さ?」


「体重が重たい分、俺の方が雪の上で深く沈むんだよ」


「私もジョンヒョンみたいにくっきり残したい!」



そう言って、子供みたいに雪の上にジャンプして泥のついた足跡を残すなまえ。



ばかだなぁ・・・。


どうせ雪はまたすぐに降り積もって、俺らの足跡なんてなくなってしまうのに。



「吹雪いてくる前に早く行くぞ」



俺は彼女の肩を抱いて先を歩き出した。



後ろに残るのは二人分の足跡。



俺となまえの。



二人分の雪跡。










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