□乗ってく?
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【乗ってく?】






郵便局に行く用事を済ませて会社に戻ると、ジョンヒョンくんの車が事務所の前に止めてあった。


「・・・・来てるんだ」


思わず口に出てしまうほど、私のテンションは一瞬であがる。

ジョンヒョンくんの顔が見れるのはうれしい。

こうして、休みだってわかってた日に何かの用事なんだろうけど、顔を見れることがうれしい。


会社の駐車場は事務所からはちょっと歩いたところにある広いスペースで。

会社の前にとめてあるって言うことは、まぁだから、ちょっとした用事なんだろうなってすぐわかる。

逆に、駐車場でその日先にジョンヒョン君の車を見つけても、その日一日もう幸せいっぱい。


私は今、とても単純な女なのだ。


彼が見れればその日一日幸せで。


そうやって一目見ることだけで胸がいっぱいになれるなんて、安上がりな女だけど・・、いいんだ。


私は不釣合いな恋愛なんてしない。


身分もちゃんとわきまえてるつもりでいる。


高望みも期待もしてない。


ただ、ジョンヒョン君の顔が見られれば幸せ。


だって彼は。アイドルだから。




平常心を保つように、大きく息を吸い込んで、深呼吸しながらドアを開ける。



事務所の前のカウンターのところでは、ジョンヒョンくんを囲うように、煌びやかな女子たちがわーきゃーやっている。



(そうか・・・彼女たちと何かしらの用事があったのか・・・)



私はそう、理解する。


そして、ちらりと、ジョンヒョン君と目が合う。


軽く会釈。


ジョンヒョン君もこちらに気づいて軽く会釈した。



私はオンニに頼まれていた荷物を出してきたことを報告して、また仕事に戻っていく。




・・・




2時間くらいたって、私の仕事が終わった。



オンニが、今日傘持ってきてないのに〜とぼやいてる。


そうか・・・。外は雨が降っているのか・・・。


置き傘、私も持ってないや。そんなに酷かったら、コンビニ寄って高いけど傘買っちゃおうかな・・・。


そう思いながら、事務所のドアを開ける。





なまえ「・・・・・・え、?」




ジョンヒョン「・・・・・・・・・乗ってく?」





彼は間違いなく、車のキーを私に見せ付ける。


なんだ?


なんなんだ・・・?


なんでジョンヒョン君が私に話しかけてるんだ?!?!



私の頭上に、衝撃という名の稲妻が走った。







【乗ってく?】


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