□あの花。
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なまえさんとの出会いは、1年にもさかのぼる。


コンサートで出向いた、初めて訪れた地方の宿泊施設で、なまえさんは深夜の買い物をする僕に話しかけてきて、そのまま僕をトイレに連れ込み1R。続いて2R。


僕はすっかりほだされてたっていうのに、なまえさんときたらちっともそうじゃなくて。


僕は実際あれから、


一度もなまえさんから連絡をもらったことはなかった。












【あの花。】












そんな彼女が今。僕のスグ隣にいる――。





















ミノ「・・・・・・え?」





なまえ「・・・・え、あれ・・・・ミノ・・・・くん?」



ここは、なまえさんと初めて会った場所とは何千キロも離れた土地なんだ。


そんな場所に、なぜ彼女が?


っていうか、なんで隣の部屋に?




ミノ「え・・・・・も、もしかして、とな・・隣の・・・部屋・・・?」



なまえ「え・・・?あ・・・・う、ん?」




僕は開けようとしていた自分の部屋のドアノブから手を離し、

そっと彼女の手の上に自分の手の平を重ねる。




なまえ「ミノ・・・・くん・・・?」





ミノ「会いたくて・・・・・・・・心が折れそうでした・・・・・」




なまえ「大げさだなぁ・・・」



僕は、ライブの後で少し汗ばんだ彼女の匂いを吸い込み、そっと寄りかかるように背中に身を寄せた。



ミノ「本当に・・・・・もう・・・・・会えないかと・・・・」



なまえ「大丈夫。まだちゃんとおっかけてるから」



ミノ「僕、彼女なんか作ってませんよ」



なまえ「ミノクン・・・・もてそうなのに・・・」



ミノ「なまえさん一筋なんです」



なまえ「ミノクン・・・・かわってる、ね」




ミノ「よく言われます」




くすりと笑った彼女に、僕は肩をつかんで振り向かせると、


そのまま唇にそっと口付けをした。



もう、何年も会ってなかったような気がする。



僕の恋の蕾がようやく、花を開いた。







【あの花。】





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