□鳴りやまない電話
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すごくすごく好きで・・・

でもこのままじゃだめで・・・

手を離さなくちゃだめで・・・

でも離したくなんかほんほたなくて‥

でも手を離しちゃったことを、

この四年間ずっと苦しんでいた。






誰かを恨むわけでもなく、誰かを責めるわけでもなく――。
















【鳴りやまない電話】
























俺が彼女と別れたのは、雨の降る夜だった。

いつも夜しか会えないのねと嘆く彼女に、俺はかける言葉さえなくて。

それでも互いに信じ合えていれば乗り越えられるものなのだと思ってた。


でも違った。

俺が、彼女を苦しめてた。

俺のせいで、彼女が悩んで、苦しんで、つらい思いをしてた。


そうわかっていたけど・・

もう少し・・・もう少しだけ、もう少ししたら、きっと分かり合える。

そう思ってた、そう信じてた。

これはふたりの未来のための試練で、きっとこの先に、二人の幸せがあるんだと思ってた。


なのに・・・。



「・・・別れましょう」



告げられた言葉は、残酷で、酷く薄っぺらく感じた。


いったい、俺と君はなんのために闘っていたんだろう。

いったい、何のために・・・だれのために・・・




言葉は、選び取れなかった。


何を選んでも、違う気がした。


だから俺は、彼女の声に、言葉を返せなかった。


ただ、


雨の降る中、傘をさして帰っていく彼女の背中を、追いかけることだけができなかった。


それっきり。



彼女は俺の前には現れなかった。


友達にも戻れなかったということは、俺のことは遊びではなかった、そう、前向きに捉えることにしよう。

君が残していったものが多すぎて、俺は当分前を向ける気がしない。


何を選べば正解だったんだろうか。






俺はそれからもう、恋愛の答えがわからなくなってしまった――。












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