□鳴りやまない電話
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テミン「それでさー!号泣だよ!号泣どころの騒ぎじゃないよ嗚咽だよ噎び泣き!」
なまえ「わかったからー、もうやめな?ジョンヒョン帰ってくるから」
テミン「わかったって、なにわかったっていうのさーぜんぜんわかってないじゃん!」
なまえ「うるさいもう仕事の邪魔しないでテミナー」
テミン「なっ!僕は理解しようとしてー」
なまえ「あーもう煩い」
テミン「人が悩んでるのになにそれー!」
さっきから台所とリビングをいったりきたりぐるぐる回っている二人。
なまえはマネージャー組織の中の一人。主に相談役として心配事や学業の面などを支える。
まだ学生のテミンが、今のところなまえと一番仲のいい存在だった。
そんなテミンが、先日ジョンヒョンに貸したCDで、ジョンヒョンが号泣したと言うのだ。
ジョンヒョンは最近大きな失恋をした。メンバーはみんな知ってる。みんな失恋くらいで‥って思ってる。でも、ジョンヒョンの中では大きな傷になってしまったみたいなんだ。
テミンはそのことを気にしている。
自分はまだ恋愛経験はないから。
恋愛の先を知らないテミンにとって、ジョンヒョンが感じている今の気持ちがわからない。だから、かける言葉もわからない。
テミンは、貸したCDで急に泣き出してしまったジョンヒョンを、見て見ないフリをした。
それは、間違ってはいなかったのか・・・
テミンの中では、まだ葛藤があるみたいに思えた。
なまえは、「ね〜え〜」と困った顔で助けを求めてくるテミンに対して、苦笑いをした。
ジョンヒョン「ただいま〜」
そこに、ジョンヒョンが帰ってきた。渦中の人は少し疲れた様に部屋に入ってきて、口数も少なめに水だけ飲みにきたのか、キッチンに入ってきて冷蔵庫を開ける。
なまえ「おかえり。おつかれ?」
ジョンヒョン「俺は平気だけど、母さんたちが大変かも。電話も引っ切り無しだし」
なまえ「あと数日で収束はすると思うけどね」
ジョンヒョン「情報ってのはどうやって出回るものなのかね」
なまえ「一度で回ったら収束なんてつけられないんじゃない」
ジョンヒョン「悪いことはしてないのに、まるで被疑者のような扱い‥」
落ち込むようにうなだれたジョンヒョンに、なまえは口角を持ち上げて「いい子いい子」と頭を撫でた。
ジョンヒョンは少し考えた後、「ありがと」と言って部屋を出ていった。
ジョンヒョンがいなくなったのを確認して、テミンがまたカウンターに乗り出してくる。
テミン「どうして別れちゃったの?」
なまえ「どうしてかは本人にきいてごらん?」
テミン「聞けるわけないし!」
なまえ「テミンくんも、好きになったら・・・わかるよ」
テミン「僕好きだったら手を離したりしないよ」
なまえ「相手が離したら?」
テミン「好きだったら離したりしない!」
なまえ「じゃあ彼女の方が、好きじゃなくなったのかも」
テミン「・・・・」
なまえ「そうだったら・・・・どうする?」
テミン「そうだったら・・・・かなしい、ね・・」
なまえ「そうだね」
テミン「でも彼女から告白してきたのに?」
なまえ「ジョンヒョンのことが大好きだから、別れたのかもしれないよ?」
テミン「どうして?」
なまえ「さぁ?」
なまえはそう言いながら、拭きおわったお皿から離れ、エプロンで自分の手を拭いた。そのままエプロンを外すと定位置にかける。
テミン「もう今日終わる?」
なまえ「終る」
テミン「もう帰る?」
なまえ「帰る」
テミン「じゃあ、送っていこうか?」
なまえ「・・・・ねぇ、テミンくん?」
テミン「ん?」
なまえ「私が、ジョンヒョンのこと好きだ、って言ったら・・・・どうする?」
テミン「・・・・エ、?」
テミンが青ざめた顔して固まる。
なまえ「そういうことじゃん。恋愛って、片方だけじゃうまくいかないんだよ。難しいんだよ」
なまえはそういうと、鞄を持ち上げて出て行った。
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