□迷惑じゃなくて
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なまえちゃんが突然、泊まりにきた。





ジョンヒョン「え・・・・ど、どうした?」


なまえ「どうもしないけど・・・いけなかった?」


ジョンヒョン「い、けなくないよ?大歓迎だよ?」



なまえちゃんは何も持たずに手ぶらでやってきた。


本当に、ただ、ふらりと立ち寄ったみたいにやってきて、突然泊めてと言ってきたのだ。



ジョンヒョン「歯ブラシとかある?」


なまえ「ない」


俺は洗面台の下を覗き込みながら買い置きの歯ブラシを探していく。



ジョンヒョン「パジャマ、スエットでへーき?」


脱衣所の吊戸棚の中からパジャマになりそうなものをを引っ張り出し、籠の中から新しいタオルを取り出す。



ジョンヒョン「あとなんか足りないものある?」


未使用の歯ブラシを一番上にのっけてタオルセットをなまえちゃんの両手の上に乗っける。



なまえ「ジョンヒョン、」


なまえちゃんはそれを受け取りながら神妙な顔をして俺の名前を呼ぶ。



ジョンヒョン「ん?どした?」




なまえ「・・・・・迷惑だと思ってる?」


ジョンヒョン「うんや?」


なまえ「突然来て・・・・驚かせた・・よね・・・」




ジョンヒョン「驚いたには驚いたけど、いい意味でのサプライズだよ。俺は別にバスタオル用意するのも歯ブラシ貸すのも苦になってないし」


なまえ「パジャマは2つも洗濯しなきゃいけないし、髪の毛も落とすし、ティッシュだって使ってゴミも出すよ」


ジョンヒョン「髪の毛は俺のも落ちるし、ティッシュなんかいくらでも使っていいし、パジャマなんてなまえちゃんが着てくれたらしばらく洗濯できないよ」


なまえ「キモチワルイ」


俺は笑って、彼女のおでこを軽く小突きながら「なに遠慮してんだよ」って言ってニッと歯を見せた。


彼女はおでこをさすりながら、困った顔して。でもつられるようにしてようやく笑った。




ジョンヒョン「どうした?」



俺は年上になったみたいに彼女の頭をぽんぽんと撫でる。



なまえ「ううん、ただ私は・・・・ジョンヒョンに迷惑かけて生きてるなーって」


ジョンヒョン「もっとかけていーよ」


なまえ「ジョンヒョンのことを好きなのと、迷惑をかけるのは違う、」


ジョンヒョン「なまえちゃんは、俺が突然泊まりに来たらどうする?」


なまえ「どうする・・って、歓迎するよ?一緒にしたいことするし、ご飯だって作るし、お風呂もお布団もみんな用意するよ!」


ジョンヒョン「それと同じことだよ」


なまえ「え?」


ジョンヒョン「なまえちゃんだって俺が同じ事したら、今の俺と同じことするでしょ?それと一緒。なまえちゃんが俺にしたいことは、俺がなまえちゃんにしたいことと同じだよ。したいことは、迷惑とは違う。俺がシタイだけだから。でしょ?」


なまえ「・・・・・でも、ジョンヒョンはうちに突然来たりはしないじゃ、ない‥」



そう、寂しそうに言う彼女に、俺は少し、待たせてばかりで寂しい思いをさせてたんだなと反省する。



ジョンヒョン「俺が行ったら・・・・・・・・・・オオカミになっちゃうじゃない」



なまえ「・・・・・・ん?」



なまえは意味がわからなかったのか、目を丸くしてきょとんとしている。



ジョンヒョン「男が女の子の家に行くのって、けっこー勇気がいると思うけど?」


なまえ「いらないよ?いつでも来ていいよ?」



ジョンヒョン「・・・・・そういう事、ほかの男子にも言っちゃダメだからね」



なまえ「え?」



ジョンヒョン「とにかく!なまえちゃんが泊まりに来てくれることは特別なの!俺にとっては最高なの!絶対遠慮なんかするなよ!」



釘をさすようにくるりと振り返ってそういうと、ジョンヒョンはバスルームになまえを置いてリビングに戻っていった。




・・・くちびるが、もう少しでニヤケルところだった。


彼女の行動が時々可愛くて困る。




なまえちゃんに「おかえり」が云えること。



それはぜんぜん――・・








【迷惑じゃなくて】






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