□誕生日おめでとう
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あれから5年経って。
僕は少しかわったかな。
だいぶかわったかな。
それとも、なにひとつかわっていないのかな。
【誕生日おめでとう】
出会ってから5年目の誕生日はなにか変わったことしようよって彼女が言い出すから、僕は途端にどうしていいかわからなくなってしまう。
彼女の言っている変わったことっていうのは、どんなことだろうか。
サプライズでケーキを用意するのもやったことあるし、バラの花束なんてらしくないこともやった。
メンバーも交えてびっくりサプライズパーティーもやったし、正直言ってもうやりつくしてしまった感があるのだけど、それでも期待に応えなければいけないわけで・・・。
オニュは頭をひねらせる。
いっそ、泊りにでも誘ってみようか。
いきなりハードル上げすぎかな。
思い起こせば5年間本当にいろんなことがあったな。
怖いこともあったし、悲しいこともあった。
腹の立つこともあったし、感情に身を任せることだってあった。
それでも、
平凡な日と幸せな夜を何度も繰り返して。
繰り返して、繰り返して。
思い返せば、ほとんど幸せだったように思う。
いろんな感情が渦巻いて、いっぺんにすべてのことは思い出せないけど。
けどこの5年、平たんにやってこれたのは、
君がかわらずに居てくれたおかげだと思う。
メンバーが成長して、1年ずつ着実に1人1人大人になっていく様や、子供から大人になっていく過程を間近で見て、実の親のようにヤキモキした感情も。今はストレートに幸せだったと言える。
君が近くに居てくれた時間は、間違いなく幸せだったよ。
積み重ねた時間の分だけ。
重みを増すこの感情はきっと、簡単には壊れたりしないと思う。
だって多分、君に見せてない感情がないから。
いい時も悪い時も。君が変わらずにそばにいたから。
だから僕は安心してここに居られる。
ずっとここに居られる。
ずっとここに居るっていうのは、変わってないってことなのかな?
でも僕たち、たしかに変わってきたよね?
住む場所も、仕事も、年齢も、たくさん変動あったよね?
すごく変わったよ。
でも、僕と君の距離は変わってない。
もうすぐ君の誕生日だね。また。
何度も季節が巡るように、1年がすぐに過ぎるように。
こうしてまた大切な日が巡ってくることが、当たり前の毎日に僕は今立ってるよ。
それは、すごく、幸せなことだね。
なまえ、ありがとう。
僕を幸せにしてくれて。
誕生日おめでとう。僕と出会ってくれてありがとう。
いつもいつも、数えきれないくらい感謝しているよ。
そう、手紙を書いたら、
君は泣き出してしまったのも。きっとまた、いい思い出に変わるだろう。
fin
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