□きになるふたり
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茶そばのお店に二人で入って、奥の席に案内されると、

隣にはすでに女の人が二人座っていた。




なまえ「てんぷらも頼んでいい?」


ジョンヒョン「じゃあ俺も」



二人でてんぷら付きのセットを注文し、料理が来るまでしばらく携帯を確認したり、店内のインテリアを眺めたりする。


古風な造りを物珍しそうに眺めた後、お水をひとくち口に含んで、「そういえばさ、」なんて話はじめてみる。


なんでこんなに会話するのに気を遣うのかっていうと、

隣に座っているのが、一般人だから。



間仕切りのない席に座る時は、少なからず緊張する。

どんな話題をしていいのか、緘口令が布かれてない時でもとりあえず気を遣う。


隣の女性組はこちらの様子など気にすることなく話を続けている。


どうやら片方の女性の方が、反対側の女性よりも年上らしい。

若い方が敬語で話している。お題は、若い方の付き合っている男とどうやらうまくいっていないのか、お姉さまのアドバイスを伺っている。そんな感じだった。


ジョンヒョン「3社合同バーベキュー大会行く?」

なまえ「あータイムカードんとこに何か出てたね〜行かないw」


当たり障りのない会社の話をしながら、隣の会話に耳を傾ける。




「だいたいさー携帯見せない時点であやしいでしょ」

「・・そうですよね」

「やましいことがなければさ、見せられるわけじゃん」

「あと、最近既読しても無視されることが多くてぇ」

「てかさ、今時LINEやってない人とか意味わかんなくない」

「え、ガラケーでしたっけ?」

「あいつスマホにしたの!LINEいれないの?って言ったらなくてもいんじゃない?っていうわけ」

「えー」

「えー!でしょ!?なんで?って訊いたら、既読が付いたのに返事がこないとかなんか‥めんどくせーって言うわけ。既読させないアプリもありますよ〜!と!」

「アハハ」

「そんでも散々うだうだ言ってたんだけどさ、こないだようやくLINEに登録したわけ!」

「おお!」

「お前のLINE入れねーポリシーはどこいったんだよ!とww」

「アハハ」

「結局入れてるんじゃん!あたしが言った時に入れりゃよかったじゃん!みたいな!」

「え、それでどうなったんですか?」

「え、電話番号でLINE始めたのわかったからLINEはじめたんだねって送ったら、既読スルー!」

「えー」

「あ、でもスタンプ押してやったら「それどうやんの?」って。自分で調べろよー!www」

「え、で、どうしたんですか?」

「既読スルーで返したwww」

「アハハ‥」





店員「おまたせしましたーてんぷら茶そばで〜す」



両手にお膳を持った店員が真横に現れて。


俺もなまえちゃんもふたりして我に返ったようにしゃんと背筋を伸ばした。


なまえ「わ〜おいしそ〜」

ジョンヒョン「エビ天3本もついてる」

なまえ「豪華だね〜」



ふたりで、ちょっと豪華な昼食を食べた、、



・・・帰り道。






お腹はいっぱいで、身体的にはとても満たされている状態。




ジョンヒョン「・・・・なまえちゃんも最初、LINEを入れてくれなかったよね。頑なにショートメールでしかやりとりできなくて。可愛いスタンプ買ってあげるよって言っても全然靡かなかったよね」

なまえ「アドレス帳に登録されてるのは仕事も私生活も混同だからね。私は制服しか知らない相手に私服を見せたいとも思わなし、相手の情報もそんなに欲しいと思わなかったし」

ジョンヒョン「でも結局友達に言われるまま入れてるしー。俺の誘いは断ったくせにぃ〜」


なまえ「いや‥だから・・・・そこだと、思うよ?」



ジョンヒョン「・・・・ああ、さっきの?」


なまえ「LINEしようよーって言ってくるってことはさ、その相手にはなにかしら意図があるってことじゃん」

ジョンヒョン「意図ってww」

なまえ「私はおはよーのスタンプもおやすみーのスタンプもいらないしさ。気軽に今何してるー?なんて文にうっかり既読をつけてしまった時に、こっちは明日提出したい書類を仕上げたいのにすぐに既読が付いたから暇なのかなってバシバシ文章贈られてきても困るわけじゃん」

ジョンヒョン「俺は今責められていますか」


なまえ「遠回しに・・LINEをする関係の相手になりたくないって言われていたんだと思うよ・・・彼女・・・」

ジョンヒョン「結局、後輩の彼氏の話はどうなったんだろうね」

なまえ「後輩の相談に乗ってあげるっていうのは会う口実に過ぎなくて、要するに自分の話がしたかったんだと思うよ」

ジョンヒョン「でも、話聞いてる限り男性はいい人そうだったよね」

なまえ「うん。なんか同じ匂いがした」

ジョンヒョン「うん。なんかなまえちゃんみたいな人が責められてるなーって思ってた」

なまえ「いや、無視してた相手なのにスタンプ来たら「それどうやるの?」って返事送ってあげるだけで優しい人だと思うよ。そうやって彼女に優しいからさ〜彼女はまた気づけないんだろうねぇ・・」


ジョンヒョン「なまえちゃんだったらどうしてる?」


なまえ「私?ん〜‥相手が仕事の関係もあって大事な要件が送られてくる可能性もあるので拒否登録が出来ない場合は〜とりあえず着た文を削除して記録に残さないかな。目に見えると、情がある相手だと返事したくなる時もあるから」



ジョンヒョン「え・・・・。え?ちょっと、なまえちゃんスマホ見して?」



なまえ「・・・・・・・・え。なんで?」



ジョンヒョン「なんで?見してくんないの?なまえちゃんあやしくない?」


なまえ「いや、見せてもいいけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





・・・・・・・・ジョンヒョン・・傷つくよ?」


ジョンヒョン「え、ちょ、どういう事www」







その後。俺の履歴がなかったのは言うまでもなくww

体は幸せなのに、心は複雑になったのは言うまでもなく。




・・




おまけ。


(・・・・俺って何?飯食いに行く系だけの友達だった?)

(友達っていうか・・・・会社の人?)

(え、あ・・・・そこから!?!)




おしまい。




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