□大晦日大掃除
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なまえ「大掃除ってこんなラスト1日にやるもんじゃないと思うなぁ〜」



なんて。文句を言いながらも、しっかりマスクをした彼女が、ハタキをかけながら僕に振り返る。



僕は、見つかった漫画を読みだすみたいに開いたままのところを見つかってしまって、


ちょっと、ばつの悪い顔をした。



オニュ「いや、これはね・・・?」



なまえ「読みだすとはかどらないからね?」



オニュ「いや・・・うん・・」



返す言葉もなく、僕はそっと開いてた漫画を閉じる。




なまえ「ねぇ、知ってる?お正月はね、毎年やってくる神様が違うんだよ」



オニュ「ん?」



なまえ「毎年、家の神様はランダムでその家にやってくるんだって。その神様はね、大掃除をして綺麗な家ほど、徳の高い神様がやってくるんだって」



オニュ「へぇ〜‥」



なまえ「ねぇ?だから、もっとちゃんと、気合入れて掃除しなきゃダメなんだよ。徳の高い神様、欲しくない?欲しいでしょ?」



僕は、「え?」「う〜ん?」となんだかよくわからない返事を返した。


彼女はむくれたようにまた掃除をはじめて、僕に背を向ける。




オニュ「この漫画・・・・ジョンヒョンに借りたままだった‥」



そういって、さっきの本をもう一度手に持つと、


ぼくの声に反応して、彼女もまた僕の方を見ていた。


今度はすごく難しい顔で。



なまえ「・・・そうなんだ」



オニュ「もう、返せないね。どうしよう」



僕はそんな彼女に、へらりと笑って見せた。

すると彼女は困ったように笑って。



なまえ「続きを・・・自分で買えばいいんじゃない?」




そう言って。手に本を持ったまま固まってる僕を赦すように、また自分の掃除に戻って行った。


オニュ「・・・そうだね」



僕は、4巻しか持ってないその本の続きを、来年は自分で買ってみようと思った。


物語に、どんな続きがあるのか、僕も気になるから。




そっと本を机の上に置くと、僕もようやく腕を巻くって手に雑巾を持ち直した。




なまえ「やる気になった?」



オニュ「うん。僕も、徳の高い神様っていうの、みてみたい」



なまえ「・・・うん…見え、ないかも・・だけどね?」





彼女が、僕を見て苦笑い。






オニュ「来年は、いい年にしようね」






いい神様が、きますように。

僕は雑巾を握りしめて。どんな神様がくるのか、少しだけ、胸がわくわくした。




 

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