□告白
1ページ/1ページ
ぜったいに気”があるから大丈夫だ。
そんなに好きなら告白した方が絶対いい。
メンバーがそう、満を持して背中を押すもんだから、俺もそれに乗っかる形になって。
普段ぜったい告白なんてしないのに。
いけいけっ、て後ろの声に押されて。
俺は意を決して君の前へ出た。
ジョンヒョン「あ、・・っあのさぁっ!」
なまえ「へ?」
君は心底びっくりしたような顔で俺に振り返った。
ジョンヒョン「あ・・ジョンヒョン!キム・ジョンヒョンです」
なまえ「そのくらい知ってますよ」
君が、おかしそうに笑う。
その笑顔に、つられて俺も笑顔になった。
ジョンヒョン「・・あの、どれくらい知ってますか?」
なまえ「えぇ?」
ジョンヒョン「俺のこと。どのくらい知ってる?」
毎日想像してた、なまえちゃんのこと。
どんなことが好きで、普段どんなことしてるのか。
好きな飲み物や、食べ物、好きなアイスの味も。
なまえ「どれくらいって・・・お姉ちゃんがいるとか、犬飼ってるとか・・ゲームが好きとか?」
ジョンヒョン「ほかには?」
なまえ「ん〜?血液型がABとか・・あとキャンドル集めてるとか?」
ジョンヒョン「ふふ・・っ、どこでそんな情報覚えてくるの?」
なまえ「雑誌とかに書いてあるじゃない」
読んでくれてるんだ・・って思わず緩みそうになる唇を慌てて噛んだ。
ジョンヒョン「なまえちゃんは?兄弟はいるの?ペットは飼ってるの?趣味は?あと血液型と集めてるものも!」
なまえ「え、え・・っ?ど、どうしたの?ジョンヒョンくん?」
ジョンヒョン「今ぼく、なまえさんにすごくはまってるんです!」
なまえ「へ、え??え??」
ジョンヒョン「だから、なまえさんの情報収集したいな、って思って」
なまえ「え、ど・・・・お・・ど、どうしたの??担当も部署もぜんぜん違うよね?」
ジョンヒョン「はい。でも、毎朝いつもすごい元気に明るい声で挨拶しているし、帰りも遅いのになまえさん愚痴なんてぜんぜんこぼさないし。それに・・・考え方がすごく前向きで・・ポジティブでいいなぁって」
なまえ「え…あ・・・・なんか・・、ごめんね?」
ジョンヒョン「え?」
なまえ「私、そんなに前向きじゃないし、明るくもないの。趣味もないし。だから・・・本当はすごい暗い人間なの!」
ジョンヒョン「、エ・・・」
俺は言葉を失ってしまった。
こんな一瞬で、褒めちぎった言葉を全部真っ向から否定されるとは思ってなかった。っていうか、ふつーは褒められたら喜んだり嬉しがったりするもんなんじゃないの?
気づけば、なまえちゃんが今にも泣き出しそうな、不安そうな顔で俺を見ていた。
怖がらせてしまったかな、と・・俺は少し反省するように苦笑い。
なまえ「ジョンヒョンくん・・?」
ジョンヒョン「、ん?」
なまえ「な、なに・・・?」
ジョンヒョン「え?ああ。俺・・・・怖がらせた・・かな、?」
なまえ「怖がってない、ですよ?大丈夫です、」
「そう?」って聞きながらも半歩後ろに下がろうとする彼女の足の動きを見逃さない。
ジョンヒョン「・・・・」
これは・・・・なんだ?俺のこと、完全に避けられてる?拒否られてる?
もしかして俺・・・すごい怖がられてるんじゃない?
質問をはぐらかされたのも、実は近づいてくるなって意味だったのかな?だとしたら俺は今すごいマヌケなんですけど・・・?
ジョンヒョン「ごめん・・・俺、・・怖い?」
なまえ「え、?え・・・・こ、全然っ怖くはないですよ?」
ジョンヒョン「あ、ほんと?」
1メートル以上距離、開いてますしね。これ今完全にシールド圏外で話してますよね。
ジョンヒョン「俺と・・・・・付き合ってください!」
なまえ「・・・いいですよ?どこに行きますか?」
ジョンヒョン「どこって・・・・どこでもいいですよ?・・・てか、付き合ってって、どこかに行くって意味じゃないですから!」
なまえ「ん??」
ジョンヒョン「え、?俺と、付き合ってって意味なんだけど」
なまえ「・・・へ?」
あれ・・・。
やっぱり?
最初からなんかおかしかったもんね?俺の勘違いってやつでしょ?てか、俺は別に勘違いしてねーし。ほかのやつらが勝手に盛り上がってただけだし。そもそも俺は行く気なんかなかったし・・。
ジョンヒョン「・・・・ごめん、忘れて」
なまえ「え?あ・・・うん?」
ジョンヒョン「急に変な話して・・・ごめん」
なまえ「あ、ううん・・・急に・・・びっくりしちゃった」
ジョンヒョン「え?」
なまえ「ジョンヒョン君が私のコト好きなのかと思っちゃったよ」
俺は肩を落とす。
ジョンヒョン「好きなのッ!」
なまえ「へ、?え??」
ジョンヒョン「好きなの!なまえちゃんのコト!好きで告白してんの!気づいてよ!」
なまえ「え・・・えっ、え・・えー・・・ごめん・・・」
ジョンヒョン「フラれるなら別にいいですけど」
なまえ「え、えっと・・・ごめんなさい・・」
ジョンヒョン「それ、俺フラれますのごめんなさい?訂正しますのごめんなさい?」
なまえ「え?」
ジョンヒョン「・・・・」
どうしよう、予想外に会話が噛み合わない・・・。
なまえ「あの・・・・私、どうしたら・・いい、ですか?」
ジョンヒョン「どうもしなくていいよ、忘れてよだから」
なまえ「あ、うん・・・」
ほんとに・・・?
ほんとに忘れちゃうの?
ジョンヒョン「なまえちゃんって・・・・・・俺のこと、好きですか?」
なまえ「え?好き、ですよ?」
ジョンヒョン「・・・・・」
ん・・・?でも・・・付き合えない、ってこと、ですか・・?
ジョンヒョン「これからも・・・好きで・・・いてくれますか?」
なまえ「え?うん?もちろん!」
ジョンヒョン「・・・・そうですか・・・ありがとうございます‥」
しょげた声でそう答えたら、なまえちゃんが心配そうな顔で俺を覗き込んだ。
なまえ「元気、ない?大丈夫?」
はい、あなたのせいで。
俺・・・勇気を出してなまえちゃんに告白したのに・・・。
ジョンヒョン「フラれて元気な人なんていませんよ」
なまえ「そんな・・・フラれたくらいで元気出して?ジョンヒョン君モテるから大丈夫よ」
なんだこれ、なんだこの構図は。
なまえちゃんが。なまえちゃんが俺をふったんですよ?
わかってます?それ?
ジョンヒョン「なまえちゃん・・・・・・残酷ですね‥」
なまえ「あの・・・、いい、お友達からはじめませんか・・・?」
それは、突然降ってきたもう一つの選択。
俺はじっとなまえちゃんを見つめる。
なんだろう・・・俺は、試されているんだろうか・・・?
好きな人と友達を天秤にかける。
ジョンヒョン「友達・・・・ですか、」
なまえ「はい」
いや、友達・・・でもいいか。なまえちゃんのことを知っていけるなら。
肩書なんて・・・大した問題じゃないよね。
ジョンヒョン「じゃあ・・・・友達から、始めましょう」
なまえちゃんは照れた顔して嬉しそうに笑った。
俺はその日初めてお互いのアドレスを交換した。
ゆっくりとはじまっていく。
俺となまえちゃんの、最初の第一歩。
ジョンヒョン「まず・・・ご飯食べ行きませんか?」
なまえ「ランチ・・・からで、いいですよね?」
俺は少し考えて、「もちろん」といい返事をした。
.