□ギフト
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メールのお知らせを見て、今日ってテミン君の誕生日だったよ〜って思い出して、携帯を閉じてまた電車に揺られて両開きのドアから窓の外を眺めていた時だった。


こっちをじーっと恨めしそうに見ているジョンヒョンと目が合ったのは。




「・・・・わかったわよ」




あまりにも私の目を見つめたままそらさないので、私は根負けして促されるままコンビニに入る。


終電もぎりぎりで電車に乗ってるっていうのに開いてる店って言ったらもうコンビニしかない。



「私がテミン君にあげたら何かおかしくない?」



「おかしくないよ?なまえちゃんからもらえたら喜ぶよ」




「そうかな?」



酒のつまみにするめでも買うかって物色している私のうしろで、ストローを指して飲むタイプのカフェラテを物色しているジョンヒョン。



「年頃の男の子って何あげたら結局喜ぶのかな?」


「現金」


「それなまえちゃんが欲しいだけでしょ」



言いながら、「これにしよ」って1本決めて私の籠に放り込むジョンヒョン。

完全に飲む気満々の私の籠の中身を見て苦笑い。



会計を済ませてコンビニを出る。


いつもは右に曲がるけど、今日はそのまま左に曲がった。




「なまえちゃんだったら何一番欲しい?」


「わかってるくせに」




見透かしたような顔で澄まして言ったら、ジョンヒョンが困ったように少し笑った。





緩い坂を登り切ると、事務所の入り口から丁度タイミングよくテミン君が出てきた。スタッフと一緒に楽しそうにわらわらと出てきた人たちに混じって。


手にはすでに大きな白い紙袋を2つも持ってる。


こっちに先に気づくと、袋を揺らしながら大きく手を振って階段を降りてきた。



「なまえヌナーー!!」



「すごいいいタイミングだね」


「ほんと。どうしたの?」



「テミン君今日誕生日だから。はい、」




そう言って私はビニール袋の中から手探りでカフェラテを手に取り、テミン君に渡す。




「わぁ!これ今僕がはまってるやつ!最新のなのによくわかったね?」


「よくわかんないからそれにしたんだよ」



「わぁ、なんか嬉しい!」


「誕生日おめでとう」



「なまえヌナに祝ってもらえると思わなかった・・・・。今日あの・・・このあとみんなで飲みに行くんですけど、一緒にどうですか?」




はにかむようにテミン君にはじめて誘われたけど、なまえはもってたビニールを持ち上げて、「もう冷えてるの買っちゃったからまた今度ね」とお断りした。




テミン君とは、「じゃあまた・・」とそこで別れる。





暗い夜道を、テミンくんたちとは反対の方向にまた坂を降りていくなまえ。




「満足した?」




「もちろん」



ジョンヒョンがするりと右腕を巻き付けて嬉しそうに笑った。





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