□俺に幸せになる権利はないのか
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偶然ってすごい重なるものだって思う。
ものすごい久しぶりに遭う当時それなりに仲の良かった女友達に「久しぶり」って声をかけられたことに驚いていたっていうのに。
そういう日に限って。
ジョンヒョン「・・え、なまえ‥ちゃん・・・?!」
俺の目の前を通り過ぎていく、俺が元好きだった彼女。
2年以上会ってなかったのに、彼女は俺の声に反応してこっちを振り向いてくれた。それは、間違いなく本人だってこと。
ジョンヒョン「え、待ってっ、」
「えっ?」
俺に声をかけてきた方の彼女が、俺に手を払われて困惑したようにその場に留まっていたけど、俺は駆け出すように、俺の言葉を無視して行ってしまったなまえちゃんの方を追いかけた。
ジョンヒョン「待って待ってっ!なまえちゃんっ!?だよねっ!?」
ぐんっ、と手首を掴むと、彼女の足が止まる。
なまえ「人違いです、離して」
ジョンヒョン「えっ、じゃあ名前言って?」
なまえ「名前っ?・・・っ、な、何でもいいでしょ!」
ジョンヒョン「えー名前教えてよ、お友達になろうよ」
なまえ「さっきの人となってれば?」
ジョンヒョン「なまえちゃんがなってよ?」
なまえ「いい加減にして。放してジョンヒョン」
俺はそこでぎゅっと掴んでた腕に力を入れる。
ジョンヒョン「やっぱり俺のこと知ってるんだ」
なまえちゃんはそこでバッと俺の腕を力いっぱい振りほどいた。
なまえ「いい加減にして」
俺となまえちゃんの間にはもう、小さな距離が出来てしまった。
ジョンヒョン「どうして離れたのか、理由だけ教えて?」
そういうとなまえちゃんは奥歯を噛んだ後唇を噛みしめてしばらく黙った後、小さく口を開いた。
俺はその動きだけで無性にキスしたくなって。気が付けば唇に吸い付いてて。
そしてその瞬時に平手打ちを食らってた。
打たれたほっぺたがじぃんとあったかくなって、自分の手で頬を擦った。
なまえ「そういうとこするのが耐えらんなくなったの!」
怒るように言われても、俺はなまえちゃんを好きなのにどうしろっていうんだろう。
ジョンヒョン「俺にどうしろって言うの?」
なまえ「別れたでしょ?それでいいじゃない」
ジョンヒョン「俺は別れてない。そっちが勝手に離れていったんだ」
なまえ「じゃあそれが答えだったんじゃないの?」
呆れたように溜め息を一つ吐いて。なまえは髪の毛を手櫛で整えると俺からまた一歩距離を取る。
ジョンヒョン「俺には幸せになる権利はないのか」
そう言ったら彼女は、「さっきの子にしてもらえば?」と冷たくあしらう様にそう言って、踵を返して行った。
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