□世の中はうまくいかないことばかり
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「今日久しぶりにジョンヒョンに遭った」と、久しぶりに会ったボクの彼女は、最初から苛立った様子でアイスティーに刺さったストローに口をつけた。



key「ジョンヒョンって・・・あの、うちの、ジョンヒョン?」



なまえ「ほかに誰がいんのよ」



key「・・・まぁ、ボクとなまえの共通認識では一人しかいないけど・・・・」



なまえ「でしょ?あの子とまだ仲良かったみたいで。話してる最中にこっちに向かって話しかけてくんの!サイテーでしょ?」



key「あー・・う、ん・・・?」



あの子っていうのはおそらくたぶん二人の共通認識で特定できる人物で間違いないと思うんだけど、その人はおそらくヒョンとはここ何年も接点とかなかったと思う・・・けど、ボクがヒョンの私生活のすべてを知っているわけじゃないから断定はできないと思って口を噤んだ。




なまえ「いきなり、キスしてきた!」



key「え、何それ?ボクもしていいの?」


なまえ「駄目に決まってんでしょ?」



ずずーとストローでアイスティーを飲み干すなまえに、ばっさりと斬られるみたいに一括されるボク。なまえはイライラがおさまらないみたいに中の氷をがりがり噛み砕いている。




なまえとボクは、ただの友達だ。


たぶんおそらく、この関係は進展することはないんだと、思う。




key「ジョンヒョニヒョン、なんだって?」



なまえ「知らないよ。誰にでもデレデレ鼻の下伸ばしてんでしょ」



key「誤解だよ、ヒョンはそんなひとじゃないよ?」




なまえ「それでも・・・・あの人は優しすぎるから」




そう言ってなまえは、氷をかき混ぜてた手を止めて、窓の向こうの夜景を眺めだした。




優しすぎることはわるいことじゃないのに。


どうしてふたりが別れちゃったのか、理由は聞けていない。


聞けなかったけど、ボクはなまえと友達になった。


ボクはなまえを好きだったから。


某女の子とジョンヒョンの間に浮気なんて、本当はなかったって。聡明ななまえにならすぐにわかったはずなのに、彼女はヒョンとよりを戻さなかった。


その心の隙間に入り込もうとたしかに近づいたのに。



でも実際彼女が、ボクに甘えてくることはなかった。



彼女は今もボクと一定の距離を保ったまま。





key「ジョンヒョニヒョンと・・・・よりを戻さないの?」



なまえ「私のこと見つめてきていきなりキスしてくるような人とより戻せると思う?」



key「あー・・・う、ん・・・?」




なまえ「戻せないでしょ?私のコトなんだと思ってるわけ?」




key「恋人だと、思ってんじゃない?」




そう、僕が云ったら。


彼女は目を見開いて固まってた。





なまえのことが、今でも大好きなんだと思うよ。


顔を見てればキスしたくなっちゃうくらいに。



好きで好きで、しょうがないんだよ。


と、ボクは思うよ。





なまえ「・・・・困るんだよ、」



key「そうだね」




なまえ「触れられたら、全部欲しくなっちゃうじゃんね」


どんどん好きになって、その人なしじゃいられなくなって、歯止めが利かなくなるんだよ、ってなまえが呟くように言った言葉のを、ボクは聞かなかったことにした。



key「なまえ・・・、」




手のひらを握ろうとテーブルの上の腕を伸ばすと、なまえが自分の手をテーブルの下に引っ込めた。



・・・・決して、触らせてはくれないボクらの距離。




key「ボクたちは・・・・そういうこと出来ないの?」



そう訊くと、なまえは一瞬だけこちらを見てから、下を向いて答えた。



なまえ「好きにはならない。そういう約束でしょ?」



key「・・・・そうだね」





ボクの返事に、綺麗に笑って応えてくれる彼女。






全くどうして世の中は、うまくいかないことばかりなのかな。









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