□天気の子
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仕事が終わって大粒の雨が降ってきたからって飛田給の駅からすぐのラーメン店に飛び込んだ帰り道。
お腹も満たされて幸せを噛みしめてる僕の横で緑色のチェックのマフラーを首に巻いて帰り支度を整える彼女が急にこう言う。
なまえ「私・・・テミンくんを好きでいる自信がない。なくなった!」
テミン「・・・出た!」
なまえ「出たっていうな。だってほんとに・・・自信ないんだよ〜」
テミン「元々そんな好きじゃなかったでしょ」
なまえ「軽く言わないでよ。どんな気持ちで付き合ってたのよ」
テミン「片思いだな〜って」
僕は道端の小石を足で蹴飛ばす。
なまえ「片思いで身体預けらんないでしょ」
テミン「じゃあなまえは僕のどんなところを好きになってくれたの?」
なまえ「え?・・・うーん‥やっぱりぃ・・・テミンくん!だったとこ、かな?」
テミン「あ?」
僕が顔をあげてなまえをみれば、彼女はにこにこした顔で笑ってる。
なまえ「思えばジョンヒョンなんて、ソロステージする時なんてガッチガチだったのよ。動線ピッタリ!っていうか、遊び心?とかが全然ないの。気負いすぎてんだろうな〜〜!!っていう、ステージ、だったの」
テミン「はぁ。・・?」
なまえ「でもねー。テミンくんは、一人でやってるのに、5人でやってる時とおんなじスタンスで出来るの!マイク壊したり衣装破いたりとかっていう破天荒さが、規格外で素晴らしいの!!」
テミン「褒めてる?」
なまえ「褒めてる!超褒めてる!その!素晴らしい、いつでも変わらずに同じ行動ができるっていうことがァ!テミンくんの良さ!!」
テミン「もいっかい訊くけど・・・?褒めてる?」
なまえ「褒めてる!!」
・・・いや、そんなジェスチャー付きで語られても…。
テミン「ジョンヒョンのストイックさは今に始まったことじゃないしさ?僕のマジックハンドも、今に始まったことじゃないじゃん?」
なまえ「あと天気の子ね!」
テミン「うっせ」
なまえ「いや‥でも、あの場で気を抜けるっていうのが、逆に素晴らしいんだなって、悟ったんだよ・・・。私」
テミン「で?そんな僕の何に自信をなくしてるって?」
なまえ「・・・私、気づいちゃったんだぁ。テミンくんじゃなくて、ジョンヒョンが好きだって」
・・・・。
テミン「・・・・・・・・・いや、知ってる…。こと、かな?それ?」
なまえ「あーうん。そうだよね・・・。でもやっぱり、好きなのはジョンヒョン!って気づいちゃったの!」
テミン「いや・・・うん、それも、知ってる。うん」
なまえ「・・・ああ。そうだった?」
そうだったよ。
僕はもうゆっくりを歩き出していた。
テミン「そんなこと悩んでたの?」
なまえ「だって、テミンくんに悪いから」
進みだした僕に、慌ててついてくる彼女。
テミン「散々けちょんけちょんにクソミソに言われてたから今更どーーでもいーーけどね」
なまえ「やっぱ、テミンくんてすごいね」
テミン「あン?」
なまえ「ジョンヒョンだったら一晩中どうしたの?って話聞いてくれそーって思って」
テミン「僕元からなまえに好かれてる気なんて微塵もないからね」
なまえ「そんなことないよー!ライブ後は超好きだったでしょー!」
テミン「一瞬ね。2日くらいの話でしょ」
なまえ「そんなことない、1週間くらいはあったって」
テミン「そんないっときの感情にいちいち流されたりなんてしませんよ」
なまえ「どういうこと?」
テミン「何年も前から僕の気持ちは変わってないし、なまえの気持ちもその時から何も変わってないでしょ、ってこと」
なまえ「ん?んっ?」
テミン「つまり、僕たちそんなに前から気持ちに変化とかないでしょ、って話。なまえが好きだと思ったのは"僕の中のジョンヒョン"であって、つまり"ボク"ではないんだよ」
なまえ「?そんなことないよ、テミンくん好きだよ。?」
テミン「アリガト」
なまえ「ほんとだよ??」
テミン「それ以上言うとシたくなっちゃうから黙って」
なまえ「え・・。いいよ?」
テミン「なまえってほんと魔性で困る」
なまえ「そお?」
テミン「好きになってもらわないと・・・・ほんと、割に合わない」
なまえ「ど〜かな〜」
テミン「ほら、帰るよ」
なまえ「あ、ほんとに帰るんだ」
テミン「襲われたいのかよ」
ニコニコ笑顔で後ろをついて来るなまえのことを、今日も変わらず好きでいます。
雨はあがって、雲間から月が顔を出していた。
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