□I know
1ページ/2ページ
なまえちゃんが、今日
俺のためにホームパーティーを開いてくれることを、
知ってる。
12月の時点で、この日は空けておいてね、と言われていたし、
1月の時点で念を押された。
2月にキボムが「お前愛されてんなー」って面倒くさそうに買い出しに付き合わされたことも知ってるし、
3月に「あんなに部屋に飾り切れないですよ」なんてミノがブツブツ言いながら帰ってきたのが、大方下準備の手伝いだったことも、知ってる。
前日に電話しても、「今忙しい」の一点張りのなまえちゃんは、本当にサプライズが下手だなーって思う。
でもそこがまた、無性に愛しい。
当日、何時からかはわからないからとりあえず朝早くに起きて、家族の誰よりも早くカーテンを開けて陽の光を浴びてたら、早速メッセージの着信音が鳴る
昨日からどっちにしようか悩んで壁にかけてたコーデを見比べ、やっぱりカジュアルじゃなくてジャケットの方にしようと上着を取る。
スキップしそうな勢いで家から出ると、「あれ、ヒョンもう出かけるの?」なんて声をかけられて驚いた。
ラフな格好をしたテミンが立っている。
うきうきしてたのがばれたんじゃないかと思って一瞬ひやっとしたけど、テミンはぽかんとしている。
ジョンヒョン「お前こそどうしたんだよ」
テミン「なまえヌナに、寝てるかもしれないから起こしてこいって」
ジョンヒョン「返事でこれから行くって打ったのに」
テミン「それより先に僕に言ったんじゃない?」
「ほら」とテミンが証拠のように画面を見せてくる。テミンへの連絡は俺が返信するより前に送られていた。
なまえの家に近づくともう庭先でkeyが荷物を抱えて歩いてるのが見えるし、庭の木にミノがガーランドを括り付けてるのが丸見え。
key「ほらぁ〜、もう来ちゃったよ〜」
なまえ「え〜〜?」
ミノ「こんな日にヒョンが起きてないなんてあるわけないじゃないですか」
食事をテーブルに運んでいるなまえに、後ろから飲み物を運んでくるジンギヒョン。
なまえが、俺と目が合ってバツの悪そうに口を尖らせる。なにそれ、可愛いんですけど。
庭先の、すっかり大きくなった桜の木の下に用意されたガーデンパーティー。一面ピンクの様なテーブルの飾りつけに、木にはイースターの卵のガーランド。
たまご柄の風船があちこちに括り付けられて、少し強めの風に揺られてるのがなんだか可笑しい。
桜の花びらがほら、グラスに落ちてる。
ジョンヒョン「・・すごいね、これ・・」
key「ほら、やるよ」
目を瞬かせてると、keyの合図で一斉に手に持ってたクラッカーを盛大に鳴らされた。
なまえ「ジョンヒョン、お誕生日おめでとう!」
ジョンヒョン「・・・ありがと、」
・・知ってたけど。
クラッカーから飛び出した紙吹雪を纏いながら、俺は主役の席に案内される。
俺が食べたいなって言ったなまえちゃんの得意料理、全部並んでる。もちろんケーキも。
オニュ「ジョンヒョン何飲む?」
ジョンヒョン「手に持ってるやつ」
オニュが何の気なしに注いでくれたグラスには案の定桜の花びらが舞ってた。
オニュ「あ、ごめん」
ジョンヒョン「いや、当たりだと思うよ」
シャンパンを掲げると、みんながグラスを持ち上げてくれた。
ジョンヒョン「みんな・・・・ありがとう・・」
そういうと、なまえが一番うれしそうな顔をして笑った。
.