□俺の恥ずかしいこと
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なまえちゃんが音源を聴いている。
いや、正確には昨日収録した俺の声を聴いている。俺が運転する車の助手席に座って。
ジョンヒョン「・・・・どう?」
なまえちゃんは正直な感想をいつも言ってくれる。俺にとっては大事なアドバイザーだ。俺の曲が大好きと言ってくれるけどただ何でもべた褒めするわけじゃなくて。時には辛辣な感想も述べてくれる重鎮的存在だ。
黙りこむなまえちゃんの横顔をちらりと目に入れて、俺は緊張した面持ちでごくりと息を飲む。
なまえ「もう・・・・ちょっと、かなっ?」
ジョンヒョン「・・・ιえ、そう?」
今回は俺一人じゃないしけっこう頑張ったと思ったんだけどな。俺は自嘲気味に笑う。
なまえ「もうちょっと出そうかなって思うんだよね、こことか」
ジョンヒョン「俺は・・・いいと思うけど」
なまえ「ジョンヒョンペンとして言ってるんです。出来ると思うから言ってるんだよ?」
むくれた顔をするなまえちゃんに、たじたじになる俺。
ここはもうちょっとこうじゃないかとか、もっとこう歌えるとか一通り真面目な顔で考察を述べた後、なまえちゃんがふと思いついたように俺に振り向く。
なまえ「私が歌ダビの時に一緒に行けばいいんじゃない!?いいシャウトの時はめっちゃ興奮するし!こっち側のリアクションみてジョンヒョン声出すタイプだからさ!」
そう言って興奮したように身振り手振りしてみせる彼女。
俺はちょっと想像してみた。レコーディングの時に彼女がディレクター側のスタジオから俺に向かって一喜一憂している姿を・・・。
ジョンヒョン「・・・・・・///」
想像以上に恥ずかしがったのか、奥歯を噛んで耐える俺を心配そうに見つめるなまえちゃん。
頼む、今そんなに俺を見つめないでほしい…。
なまえ「・・・・・・ジョンヒョンって実は・・・・恥ずかしがりなんだね?」
ジョンヒョン「・・・・?」
彼女も今、同じレコーディング風景を想像したのか、真面目な顔で頷くように俺を見る。
なまえ「私が応援したら、照れちゃって歌えなくなるパターンだねこれ?」
ジョンヒョン「・・・///」
・・・だからズバッと言い当てるなっての。
恥ずかしさが勝って言葉がでない俺に、なまえちゃんは何か「ははーん」とわかったように大きく頷いて言った。
なまえ「ジョンヒョンってもしかしてライブもキャーキャー言われてんの恥ずかしくて目ぇ合わせらんなかったタイプね!?!」
真相に気づいたなまえが大きく目を開いて俺を見る。こっぱずかしくてますます小さくなる俺。
ジョンヒョン「・・・・だから自分の声とか好きじゃないってゆったじゃん」
小さく反論すると、なまえちゃんはおかしそうにクスクス笑っていた。
その後お互いにライブの時のことを思い出した。俺が一度もなまえちゃんに目を合わせられなかったやつ。
こっちが一生懸命やってるのを彼女が興奮したように黄色い声送ってるんだろうなって。目が合ったことを想像するだけで顔から火が出そう。
ジョンヒョン「・・・・俺は、ステージには向いていなかったと思う」
なまえ「大丈夫、それは全力で感じてるから!」
だけどそれも全部お見通しの君。
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