□朝のコーヒー
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なまえちゃんの朝の準備は物凄く早い。
ドーラ一家かなって思う位早い。
目覚めたのかなって思うともうトイレに行って洗面所に向かってパックしながらシャツに袖通してストッキング履いてスーツに着替えてる。
それでも「おはよう」って声をかける頃のなまえちゃんの目はまだ眠そうな二重瞼。
八時半になまえちゃんに淹れたてのコーヒーを渡す。
「ありがと」と言って髪をセットしながら啜り、
その後も化粧をしながら、スマホ見ながら、荷物確認しながら、
コーヒーを片手に進めていく朝のルーティーン。
9時の出発前、なまえちゃんは残ったコーヒーをステンレスボトルに入れ替えてた。
「飲み切れなかったから途中で飲むね」
冷める間もないコーヒーを片手になまえちゃんは家を出る。
出先の車の中では書類の最終確認。
ラジオでは交通情報と天気予報をチェック。
先方はどれもいい人。商談はスムースに進んでいく。
出先から出先への繰り返し。
午前中の業務が終われば、なまえちゃんはようやく帰社の帰路につく。
途中の信号手前で工事があり渋滞にはまる。
なまえちゃんはそこでハタと、ドリンクホルダーに置いたステンれるボトルに目を留める。
朝用意してきた飲みかけのコーヒーだ。
車内のデジタル時計は12:45を指してる。
動かなくなった車内で、なまえちゃんは一息入れる様にようやくそこで水筒のキャップを外した。
開けた瞬間にふわっとコーヒーのいい香りが広がる。
横でなまえちゃんはほっこりした顔をする。
俺は一瞬驚いた顔をして、それから吹き出すようにして笑った。
ジョンヒョン「ぬるくない?」
「そう?意外とまだあったかかったよ」
なまえちゃんは朝のコーヒーをようやく飲み終えると、満足げに腕を伸ばした。
"途中"なんていくらでもあったのに。
なまえちゃんは結局、"昼"まで"朝のコーヒー"を飲んでるなんておかしなひとだね。
俺が笑ってるとと、なまえちゃんは不服そうな顔をしてこっちを見る。
なまえ「そんなに笑うことなくない?ちょっと忘れてただけで・・・」
ジョンヒョン「笑ってないよ、嬉しいだけ」
走りだした車にギアを入れ替えたなまえちゃんが、そんな俺を見てまだ不満そうな顔をして前を向く。
今日は素敵な日。
ジョンヒョン「午後の会議の前にお昼食べるでしょ?スタバ寄ってこうよ」
なまえ「いいね。あったかいコーヒーを飲みなおそう」
俺は横で肩を揺らしてクツクツと笑った。
【朝のコーヒー】
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